『自炊男子と女子高生』あとがき

 ※こちらは二〇二一年三月二九日まで投稿しておりました作品『自炊男子と女子高生』のあとがきとなります。作品内容のネタバレや作者側の視点が多分に含まれる内容となっているため、本作を未読の方や〝裏事情〟にあたる内容が苦手な読者様には下の「★」マーク以下の閲覧は推奨いたしておりません。

 ご理解いただいた上で、よろしければ先へお進みください。





















【はじめに】

 こんにちは。あかねジュンと申します。

 この度は拙作『自炊男子と女子高生』をご愛読いただき、誠にありがとうございました。平凡な貧乏大学生のゆうと不器用で可愛い女子高生の真昼まひるが繰り広げるただの日常風景、お楽しみいただけましたでしょうか。自炊・料理がメインのお話だったはずなのに、最終的にほとんど料理シーン描写しなくなったじゃねえかというツッコミは控えていただけると助かります(切実)

 内容というほどの内容もない作品なので前作ほど〝裏話〟的なものもないのですが、せっかくの機会なので作者側から見た本作に関する話でもダラダラ書いていきたいと思います。よろしければお付き合いくださいませ。



【作品に関して】

 まずはじめに、ハッキリ言って本作はめっっっっっちゃくちゃ適当に書き始めました(笑) 近況ノート等で何度か言及している通り、元々本作はシリアス成分が多かった前作の執筆途中に箸休め的に書き始めたものでして、プロットもなければ先の展開も一切考えず、「誰にも読まれなくなったらそっと最終回にしよう」程度の気持ちで投稿を開始しただけの作品でした。

 それがなぜかカクヨム内のちょっとした賞(というかピックアップ?)をいただき、それまでは前作と変わらない程度の閲覧数だったのが爆発的に伸びたことを強く覚えています。たくさんの人に読んでもらえるのはもちろん嬉しいのですが、自分の実力だけで掴んだ数字じゃないしなあ、という複雑な心境になりましたね(笑) 

 そんなわけで読者様がいらっしゃる以上は適当に話を閉じるわけにもいかず、かといってこれといった目標・目的もなく、毎日自炊して駄弁だべるだけの作品ってどうやって閉じればいいんだろうと悩んだ結果、料理より恋愛が主軸の作品に変質。ジャンルがラブコメなので当然といえば当然なのですが……いわゆる〝日常系〟の作品というのは緩く見えて実は一番難しいんじゃないか、と実感する一年でした。

 少なくとも書くのが簡単だったのは断然前作の方でしたね。毎回夕が同じようなごはんを作り、真昼が「すっごく美味しい!」と感想を述べるだけではなにも面白くない。だからそこになにかしらのスパイスというか変化を加えることになるのですが、なにぶん学校などではなく自室でのやり取りなので変化も加えづらく……なんで大人しく夕を真昼と同じ学校の生徒にしておかなかったんだ、過去の私よ。でも個人的に主人公を「お兄さん」と呼ぶヒロインを書きたかったので仕方ないですね(自己弁護) 夕を真昼の一つ年上設定とかにして、彼のことを「先輩」と呼ぶ真昼もそれはそれで見てみたかった気もします。

 そんなこんなでアドリブだらけで書いていたため、作中に矛盾点等も多々あるかもしれませんが、生温かい目でスルーしていただけると助かります。



【キャラクターに関して】

 作品を作るにあたり、まず考案したキャラクターが夕と真昼です。主人公とヒロインなので当たり前ですね。一番最初が真昼で、その次が夕だったかと思います。名前は「あさ」ひま「ひる」・「や」もり「ゆう」と、朝・昼・夜・夕を揃える形で考案しました。我ながら安直過ぎますね。ちなみに夕の名字が〝夜森やもり〟でなく〝家森やもり〟なのは、真昼の父に〝冬夜とうや〟と付けてしまったせいです。サブキャラに名前の文字を取られる主人公がいるって本当ですか??

 この二人を主軸に据えたことで苦労した覚えはほとんどありません。夕は読者様がなるべく感情移入しやすいようスタンダードな男に。真昼は名前の通り底抜けに明るく、可愛らしい女の子に。どちらもクセのないキャラクターなので、非常に動かしやすかったです。真昼が話を動かし、夕がそれに対応するというのが基本になっていましたね。


 JK組の面々はそれぞれ季節をイメージした名前にしています。なんとなく真昼は〝夏〟というイメージだったので、ひよりは〝春〟の入った〝椿〟を名字に、亜紀あきは読んだまま〝秋〟。雪穂ゆきほは姓名ともに〝冬〟丸出しですね。

 ちなみに赤羽あかばね亜紀というキャラクターには執筆の都合でかなり助けられました。彼女は普段はふざけてばかりなのに根っこでアレコレ考えるタイプなので、ボケもシリアスも両方対応出来るんですよね。便利キャラ、という言い方は少しアレですが、作者的に本作のMVPは彼女にあげたいと思います。


 後は大学生組。文化祭編を書きながら男にしておけば良かったと死ぬほど後悔した青葉蒼生あおばあおいと、言葉のあちこちが「ェ」とか「ン」になるので書くのが面倒臭かった千歳千鶴ちとせちづるです。どちらにも苦労させられましたが、キャラクターとしてはどっちもお気に入りでした。特に千鶴のような真面目で不器用なキャラクターというのは見ていてとてももどかしいのですが、そこが彼女の魅力なんだろうなと思います。もう少し出番を増やしてあげたかったですね。


 話のメインとなったのは上の七人ですが、その他話作りで助かったのはゆずるりょうの二人でしょうか。弦なんて最初は「適当に当て馬でも作っとくか」で生まれたキャラクターだったのですが、書いているうちに彼に前作の主人公の姿を重ねてしまい、気付けばめちゃくちゃ男前な奴に仕上がっていました(笑) 言動は痛々しくとも、彼は本当に真昼のことが好きだったんだと思います。最終話の先で、彼は悔しそうにしながらも夕と真昼の二人を祝福してくれたのではないでしょうか。そんな友人の背中を叩く涼の姿が目に浮かびます。



【続編に関して】

 今のところ執筆予定はありません。ありがたいことに「続きが読みたい」というコメントをいくつかいただいたので、今後気晴らし程度に番外編を書いてもいいなあとぼんやり思ったりはしているのですが、もし書いたとしても既に付き合っている男女がごはんを作って食べるだけですから、それを読んで読者様が楽しいのかどうかは甚だ疑問なところです(笑) どちらにせよ、期待せずにお待ちいただければ幸いです。



【次回作に関して】

 次回作のタイトルは『THE END-ジエンド-』です。始まる前からタイトルが終わっちゃってますが、一応ちゃんと意味があるのでそれは是非本編でお確かめください(宣伝)

 ジャンルは現代ファンタジー、世界観をざっくり言うと〝悪魔〟という異敵が現れた世界で剣やら特殊能力やら魔術やらを用いて戦う少年少女たちのお話です。はい、ありがちですね。基本的にファンタジーは王道の方が面白いと思っているので、ありがちでいいんです。個人的にいわゆる〝主人公最強モノ〟が苦手なので、こちらの作品では普通に主人公がいろんな意味で苦労しますし、女の子にもさしてモテません。ファンタジー世界における〝現実味〟みたいなものを感じていただけるように書いていきたいですね。


 ただファンタジー作品というのは世界観整理が最も難しい部分になりますので、本編投稿前にいくつか前日譚にあたる作品を投稿させていただく予定です。二〇二一年四月一日より投稿開始予定となっているのもこちらの前日譚になりますので、まずはそちらだけでもお読みいただければ嬉しいです。

 ずっとラブコメばかり書いてきたのでファンタジーを上手に書けるかは不安ですが、元々私が書きたかったのはこちらだったので楽しみでもあります。作者・読者様の双方が楽しめるような作品に育ってくれればいいなあ(願望)



【謝辞】

 最後になりましたが、改めまして『自炊男子と女子高生』をお読みいただいたすべての読者様方、長い作品にお付き合いいただきまして本当にありがとうございました。本作がほんの少しでも皆様の心に残るのなら、作者としてこれに勝る喜びはございません。

 次回作はラブコメとはまったく別種の作品なので「次回作も是非読んでください!」とは言いづらいのですが、もし今後私がラブコメを書くことがあればその時は覗きに来てやってください。真昼以上に分かりやすく可愛いヒロインを作る自信はあまりありませんが(笑)


 読者の皆様によりよい読書生活が訪れますように。



      二〇二一・三・三〇


            茜ジュン



【作品データ】

 ※二〇二一年三月三〇日午後二二時現在

 タイトル名:自炊男子と女子高生(全三八八話)

 作品文字数:849,190

 累計PV数:966,298

 累計評価数:1,174/410(平均2.86)

 累計応援数:33,800

 累計コメント数:367

 フォロワー様数:2,417

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