第19話 最後に小さな後日譚
それから、数年後のこと。
セフィド・キタイに、新しい王子が誕生しました。国民は大変喜び、国を挙げての祝賀の儀が行われます。
その儀式の最中に、王家からある事柄が発表されました。
いままでお世継ぎだとされていたイリ王子が、実は女子だというのです。
キタイ国王は、国民の前に深々と頭を下げました。
予想だにしなかった国王の懺悔に国中が大変驚きましたが、喜びの前にこれを許したそうです。
しかし女子であることが明らかになったからには、元王子である姫君は、市民と結婚をすることになります。
イリ姫の嫁ぎ先については、大臣たちによる長い長い会議で十二分に検討がなされました。
そして、絵がお好きという姫君のご趣味を考慮にいれてのことでしょうか、当時世界一といわれていた青年絵師がその嫁ぎ先に決められたということです。
薔薇と絵描き 鶏卵そば @keiran
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