水とはっぱ
しーさん
宇佐美水と三宮ひよりとすべて
ぼくの机に緑色の本が置いてある。『書庫に戻しておいて』と置き手紙も添えられていた。きっと母がやったのだろう。こんな手間をかけるなら自分で行けばいいのにと思いながら、ぼくは渋々、それを手に取って歩き出した。
書庫を訪れるのは久しぶりだった。ろくに漢字も読めない年頃に、まだ元気だったじいさまに連れられて入った以来だ。なんとなく煤けた灰色の空間が懐かしい。もうほとんど利用されていないので、屋敷の中でもあまり掃除が徹底されていないのか、本棚からあふれた本が乱雑に積み上げられ、薄らと埃をかぶっていた。無用心なことに、書庫を誰が使うわけでもないのに、石油ストーブの炎がちらちら光っている。その上におかれた薬缶が古めかしい。開け放ったドアから冬の澄んだ外気が流れ込む以外は、そこに空気のゆらぎは無かった。
ぼくは、緑の装丁の本の元の居場所を探す。見たところシリーズ物の冒険小説で、これは五巻目。「あ。あった」幸運にも、うろついていたぼくのちょうど右手の本棚に同じシリーズ作品が並んでいたので、左から五番目のスペースにその本をさし込む。
帰ろうと後ろを向くと、ばたん、と、あたりのほこりを舞い上げながら、ページを開いた形で本が落ちた。変なタイミングだと思いつつ、その本を手に取る。上等そうな赤い装丁で、けっこう分厚い。ページをぱらぱらめくると、また塵が空気に踊ってしまって、ぼくはそれを思いきり吸い込んで、むせながらも、その本から目が離せないでいた。
本は、約100年前のこの国のことを記していた。それも、突如人間に生えた謎の植物についてだ。
頭からおかしな芽を出すのが大人になった証だとされたのは、確か80年前ほどからだ。それよりも前の人体のつくりについては、教科書やネットでも情報を見たことがないから、興味をひかれたぼくは以前文献を集められるだけ集めて、統計を取ったことがある。それについては政府でさえ正式に発表していないし、ほとんどの人は、思春期に入るとともに「芽生えて」、しかもそれをまったく変なことだと思わなくなる。大人は全員、疑問を抱かずに生きている。
この本は、そんな、意図的に制限されてきたかもしれない情報を持っているのか。
ぼくは、静かに、開けっ放しにしていた扉を閉めた。人生で初めて、悪いことをしている気分になった。
ていねいに、1ページめからめくって目を通す。心臓がどきどきして、誰か来てしまわないかという考えが過ぎっては怖くなる。しわにならないよう手つきは柔らかく、でも、早く読み切ってしまいたくて、視線のスライドは素早かった。
この本で初めて知ったのは、「まだ葉っぱの生える前の人間の平均寿命は、今よりも30~40年ほど長かった」ことだ。
ぼくはますます、人に植物が生えていることへの恐怖が強まった。今日学校で、ぼくを「まだ芽も出てない」と馬鹿にしたやつらや、母さんや、その他の大人たちが恐ろしくなった。その人たちは全員もれなく、つむじから植物に養分、つまり命を吸われながら生きているんだ。ぼくはじいさまの葬式で見た、彼の植物を思い出した。それは同じクラスの輩よりも確実に茎を太く伸ばし、葉を広げ、紫の花まで咲かせていた。きっとあれはじいさまの体から吸い取った命をすすって大きくなったんだ。
ああ、本当に、嫌な気持ちだな。
ぼくは大方読み終えたそれを元あった場所らしい本と本の隙間に戻して、重苦しい書庫を後にした。廊下で吸い込んだ空気は思った以上に冷たく、心のなかをそっけなく明瞭にさせた。
「あっ、ひよりも生えたんだ。遅かったねえ」
「うん、昨日頭洗ってるときに気づいてね」
三宮ひよりがぼくの真後ろを、談笑しながら歩いている。
彼女はぼくの幼馴染だ。...といっても、中学に上がってからはほとんど交流がない。小学生の頃は日が暮れるまで一緒に遊んでいた仲だったが、クラスが別々なこともあって、会うことすら少なくなっていた。きっと彼女はぼくが前を歩いているなんて気づいていないんだろうと思う。
ふと、きのう書庫で読んだ本の事を思い出した。頭に生える葉っぱが人間の命を吸い取っているだろうということ。ついに三宮にもそれが芽生えてしまった。
胸がひやっとする。いつかはわからないが、三宮にもふつうより早く死が訪れるんだ。ぼくはいつもの通学路で、いつもとは違う焦燥感を覚えた。
まだ芽生えないぼくならなにか、それを食い止める方法を思いつけるかもしれない。
大人になってあれがふつうになってしまう前に、おかしくなってしまう前に、彼女の分だけでも命をながくしたい。
そう強く感じたのは、ぼくが三宮にどんな感情を抱いているからだなんて、考える隙間もなく、その日は授業中でも対策の候補をあげることに専念した。
帰宅した後、鞄から取り出したルーズリーフいっぱいに書き込まれた乱雑な箇条書きや図や文字列のなかで、ぼくは「除草剤をつくる」という案しかみつけられなかった。
人間に寄生する植物を退治するための除草剤なんて聞いたことがないが、きょう友人と笑っていた三宮の顔を思い出すと、どうにも胸騒ぎのような焦りが先行してしまって、もうきっと、ぼくはきっと正気ではないんだろうな。
化学は得意なほうだけれど、中学で習う化学なんかで除草剤は作れないだろう。だからといって大人に助けを求めたって無駄だ。怪訝な顔をして、「何を言っているんだ」と叱られるに決まっている。
ぼくは、躊躇の末、三宮本人に事情を説明して、手伝ってもらうことに決めた。
「三宮、」
「水く...宇佐美くん」
ぼくは放課後、ひとりで帰路についていた三宮に声をかけることに成功した。彼女は、小学生のころとは違う呼び方に遠慮がちに答えて、「久しぶりだね」とあいまいに笑った。
詳しく話すのはあの書庫でと決めていたので、久々の来訪に驚く母を尻目に、ぼくは三宮の手を引いて、最低限のこと以外なにも話さないままそこへ向かった。
「これを読んでほしい」
といって、件の本を渡すと、三宮は戸惑った顔で読み始めた。本気で迷惑そうにはしていない様子なので、すこし安心する。彼女のつむじからのぞく新緑色が、すすけた書庫でいやに異彩を放っていた。
「これ、昔はみんなもっと長く生きてたってこと?」
「うん」
しばらくして本を読み終えたらしい三宮はさっきよりも困惑しきった表情でぼくを見上げた。たぶん彼女はそれが葉っぱのせいであることに気づいていない。
「今の平均寿命が短くなったのは、頭に生える植物のせいだと思ってる」
「えっ?いや、でも人って、これが生えて当然で、それからやっと大人になれるんじゃ」
「いいや。計算したことがある。人に葉っぱが生えるようになったのは、今から80年前で、結構最近なんだ。だから、」
「その80年前に、なんかあったってこと?」
「おそらく」
三宮は、驚いた顔をして、ううん、と唸り声を上げながらうつむいた。ふいに、書庫が静かになったとき、コンコン、扉がノックされた。コンコン、と、それは続いた。家族の誰かだろうとはいえ、誰か大人に見られてはまずいだろう。ぼくを呼びにきたんだろうか。ぼくは彼女の持つ本を勢い良く閉じて、「今行く」適当に返事をして、どうせ誰も見ないだろうが、本は本棚の一番奥に突っ込んだ。
「三宮。たぶんこれは大人に知られちゃまずいことだ。植物がどうとか、寿命がどうとか、ぼく以外の人とあまり話さないほうがいい」
「わ、わかった」
ぼくたちは書庫を出た。
「宇佐美くん、除草剤なんてどうやってつくるの?」
「それが、さっぱりわからない」
「えええっ。ど、どうするの?」
「ぼくなりに書庫やネットで調べてはいるが、除草剤なんてつくろうと思う人間はいないのか、国か世界かに情報が規制されているのか、有益そうなものはないな」
「うーん。困ったなあ」
ぼくたちは、もはや『例の集合場所』と呼ぶほどおなじみになった書庫で、同時に頭を抱えた。三宮の頭頂部で手のひらほどの大きさまで発達してしまった植物を揺らす。
うんうん唸るだけで、きょうもその成長を止めることはできないのか。ぼくは歯がゆくて、気を静めるために深呼吸をする。胸がずきずき痛んだ。「宇佐美くん、外出て考えてみない?きょういい天気だったし」「ああ、そうだな」
書庫から出ると廊下はしいんとして、冷え切った空気に満たされていた。頬をなでる隙間風には、冬のかなしいにおいが混じっている。玄関から、先ほどより曇った空の下へ出た。雪でも降りそうな天気だ。
「い、っ」ふいに強い風がびゅうと拭いて、ちょうどそのとき、頭がずきんと痛んだ。その疼痛で、一瞬のうちに、ぼくはぼくではないものに作り替えられてしまったような気がした。
「うわあ、思ったより寒いかも、もう戻る?」「…ああ、そうだな」三宮はぼくの様子には気がつかないまま、間延びした声で歩き出す。それを追いかけるようにぼくも、頼りない足取りを踏みしめた。
書庫に戻って、相変わらず燃えているストーブの控えめな炎で、ぼくたちはわずかに熱を取り戻す。すると、三宮は驚きの声をあげた。
「えっ、宇佐美くん、葉っぱが」
「…え?」
思わず頭に手をやると、触り慣れない感触のものが手に当たって、ふわふわ揺れる。ぼくにも植物が宿ったのだろう。
「大丈夫?除草剤まだ作ってないし、」
三宮の声が、遠くで反響するようにぼんやりと聞こえる。
なにかがおかしい。
なにかおかしいことはわかるのに、なにがどうおかしくなっているのかはわからない。
葉っぱが生えたのはおめでたいことだ。それなのに、頭の中の一番大事なところにもやがかかっているような、すっきりしない気持ちが残る。
さっきだって書庫で三宮と話していたということはわかるのに、なにを話していたかはわからない。
除草剤と聞いた瞬間、いつかのように、胸が締め付けられた。いつだったかは思い出せないが、この、息苦しくなるもどかしさをぼくは確実に知っている。
「はあ、は、はあ…」
ぼくのする呼吸の音だけが響いている。それは乱れている。書庫の灰色の空気に、不自然に息が溶け残り、ぼくの視界は暗く、暗く、なる。
「水くん…!」
「水。起きなさい」
目を開けているはずなのに、眼前が暗くてならない。瞼の裏だけをずっと見ているようでふしぎな空間に、低くぼくの名前を呼ぶ声が轟いている。懐かしくて、温かい声色で頭を撫でられるように徐々に覚醒する。
「水。花を知っているかい。人に咲く花のこと」
ああ。知っている。人間が死ぬときに咲くという花。ぼくにもやっと芽が出たから、きっとぼくの死ぬときにも頭の上で、そのつぼみは平然と、開いてしまうんだろうな。それは名誉なことなんだろうが、すこしいやだなと思う。
「水。おまえの花も、もう開きはじめている。あまりにも早いが確かだ。…そんなことにするわけにはいかない」
ぼくは死ぬのか?
「いいや。おまえはこれからも生を、食べていかなくてはならない。書庫の、緑の装丁の冒険小説が並んでいる本棚のその裏を見なさい。…ああ、もう目覚めるようだな。水。必ず、」
じいさま。ありがとう。
そう伝える前にぼくの意識はだんだんと白く塗りつぶされていく。最後に聞いたじいさまの声音は、かぎりなく静かで穏やかに、脳内で反響をくりかえしていた。
「水くん、水くん!」
今度はちゃんと目を開けられる。光を久しく感じた。書庫の空気の感じからして、そんなに長い時間気を失っていたわけではなさそうだ。頭の植物を、手で確認した。やはり、やわらかく触れるものがある。ふにゃふにゃしたこれは、きっと花びらなんだろう。ぼんやりとした気分のまま起き上がる。ぼくを心配そうに見る三宮の目には涙が浮かんでいた。
「よかった。水くん、急に倒れるから、…ああ、よかった」
下の名前で呼ばれるのは久々で、初めて出会った時のような新鮮さを感じた。心からの安堵が痛いほど伝わってくる。
「ありがとう。心配してくれて」
ぼくは言葉を返したのと同時に、じいさまが教えてくれたことを思い出す。
急いで、以前ぼくが本を戻した本棚へ歩を進め、その裏側に回る。三宮への説明もそこそこに、その場所で、解決の糸口を探ろうと躍起になるぼくに、三宮は声を上げた。
「水くん。頭、お花が咲いてる、それって死ぬときの」
ぼくがしゃがんだとき頭頂部の植物の部分が見えたのだろう。
「大丈夫だ。なにも心配いらない」
三宮は切羽詰まったぼくのようすに、それ以上花のことについては質問をよこさなかった。「そこになにかあるの?探すよ」といって、かがんできょろきょろしはじめる。その横顔は、ぼくの今まで見てきた誰より優しく思えた。
「あっ。こんなとこにメモが挟まってる」
三宮は足元にあったらしい紙切れを手に取った。きっとじいさまからの助けに違いない。彼女の手の中でそれが開かれる。
その情報は機密事項らしく、重要と赤文字で、その横には落書きのような花の絵が殴り書いてある。
「日本国民の平均寿命の延伸に伴い、ヒトに寄生する植物を国が開発し、それを国民全体に拡散することでこれ以上の高齢化、国の衰退を防ぐ」ということが記されていた。「除草剤」その几帳面そうな字はじいさまのものだった。かつての彼もぼくと同じように植物を排除するべきだと考えていたのだ。
「この国って、昔は日本って名前だったんだね」三宮はぼうっとした表情でつぶやく。そんな国名、教科書でも見たことのない文字の響きだ。ぼくは、新たな真実をかみしめるようにして頷いた。「…やっぱり、80年前は平均寿命が長かったんだな。じいさまは、国の目から隠してこの書類をとっておいてくれたんだ」過去の機密事項が一般人存在するなんて、国が許すわけがない。三宮は驚いた顔をしたが、すぐに納得したように頷いた。
重要の文字の隣にある花の絵は、きっとじいさまが描いたものではないだろう。彼の書く文字の丁寧さに反して、紫インクでふちどられたそれはあまりにも乱雑だった。それに、この花はとても、じいさまの葬式で見た、頭に咲いたそれそっくりに感じられる。ぼくはなんだか、それを知っている気がした。
「…ああ、」思わず声が漏れる。そうだ。そうだった、これはぼくが描いたものだ。いつかの夏の夕暮れに、じいさまに連れられてきた書庫で、本には興味のなかったぼくが勝手に描いたんだ。乱れた線はまだ幼かった証拠だ。しかしその絵は適当に描いたにしては、あまりにも葬式で見た花と酷似している。なぜだ?ひとつが明らかになるたびに、新しい謎が増えるばかりだ。このまま、すべての真相が迷宮入りに終わってしまう気さえする。もう脳みそがパンクしそうだ。脳内の混乱から、視界までもがぐわんぐわんと揺さぶられる。もうだめかもしれない。ぼくらは、いつしかの大人たちに踊らされているだけなのか。
ぼくは気が付くと、ひよりのはっぱをちぎってしまっていた。「水くん!?」ひよりが驚愕の声を発するのよりも先に、ぼくはその葉を飲み込んだ。
「み、水くん、だいじょうぶ?」また心配そうな顔をさせてしまったな。と、思った、そのときに、ひよりの頭のはっぱが、さっきよりもしおれているのに気が付いた。驚いて背伸びをして見ると、確実にそれは力を失ったように倒れてしまっている。
「ひよりのほうこそ大丈夫か?」
「え?う、うん」
控えめにうなずくが、欠けたはっぱはどんどん色褪せていく。触れると、ついにぱらぱら音を立てて崩れてしまう。ひよりは不思議そうな顔をしているだけなので、きっと命にかかわったりすることはないだろう。違和感に気づいたらしい彼女は、その表情で自分の頭におそるおそる手をやって、もうそこにはあるべきものがなくなっているのを確かめる。「あっ!?水くん、あれ?ない、ないよ!」戸惑い興奮歓喜の入り混じった声を上げながら、ぼくの手をつかんでそわそわと体を震わせるひよりから伝わるように、ぼくの方まで徐々に喜びが喉までせりあがってくる。
そしてその勢いのまま、ひよりはぼくに生えていた花びらをちぎって、ぱくりと口に入れて飲み込んだ。そして、ぼくの頭のそれもなくなった。花や葉っぱの残骸が、枯れて地面に落ちる。
「なんだ。案外あっけなかったな」せいいっぱいの平静を装うぼくの声は、それでも、わずかに隠し切れない興奮を含んでいる。「水くん!やった!」ひよりはそれを隠さず、何度も飛び上がってぼくの肩をつかむ。「ああ。よかった」ぼくたちは、日が落ちてさっきよりも暗くなった書庫で勢いよく抱擁を交わした。一日の終わりの寂寞と、謎を解き明かしたかのような達成感がこころに押し寄せる。互いに、ぽんぽんと背中をたたいて、離れて目を合わせた。ひよりは涙ぐみながら笑っていた。ぼくもきっとそうなんだろう。
「ありがとう。水くん」
「礼なんていい。ひよりが無事なんだから、それだけで」
「…うん」
ぼくたちの非日常は、やっとのことで終わりを告げた。だからといって、特に何が変わったわけでもない。ぼくとひよりの関係も、世界もそうだ。
学校ですれ違えば少し話をするようになった程度。朝挨拶をする程度。あとは、お互いの呼びかた。ぼくたちの間で変化したのは、それだけだ。些細なことでしかないようで、それはぼくにとって、日常を構成するための大事なものになりつつある。そして、これから長く生きられるだろうひよりと、こうしてなんでもない毎日を送りたい。
「水くん。今日から一緒に帰っていい?前みたいに」
「あっ、雪だ」ひよりが声を上げて、灰の空から降ってきた結晶をちいさな手で受け止めた。「今年は早いな」「そうだね。わたし、雪好きだなあ」彼女の、にこにこ笑ってはしゃぐ姿はまるっきり小学生の時と変わらない。歩道の脇に植えられた植物の葉にも、雪は等しく落ちていく。それは紫色の花を覆って、なにもかもを白く塗る。
「へっくしゅん!」ひよりが勢いよくくしゃみをして洟を垂らした。「なんでマフラーもしないんだ」ぼくが呆れた声で言って、自分のマフラーを彼女の首にぐるぐる巻き付ける。首元は幾分か冷えたが、あまり気にはならない。彼女は、「あったかい。ありがとう」と言って、ずびずびと鼻をすすった。
しばらくふたりで黙って雪を眺めていた。ふとひよりの横顔を見ると、彼女もちょうどぼくのほうを振り返った。その頭にはもうはっぱなんてない。白く作り変えられる景色のなかで、ひよりは頬を赤くして笑う。ぼくも笑う。そうしたら、もうこの世界にはたったふたりだけになった。
水とはっぱ しーさん @madshesun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます