第14話 たい焼きのある未来。
俺は禁術の確信に迫る本を見つけた。この本によると禁術の効果についていくつか分かってきた。時間軸はヒモの様なモノで、神具である刀で切り違う時間軸と結びつけたモノらしい。
つまりは、焼ける本能寺で信長は千夏姫と烈姫の時間軸を切り現代に繋げたらしい。その際に姉貴の時間軸が切れてしまい、姉貴の存在があやふやになっているのが今の状態らしい。あやふやになっている姉貴の時間軸を結べば姉貴と千夏姫が一緒にいられるとの事である。
俺は近所の神社で許可を得て神具である刀を鞘から抜く。曇りなき剣先であった。そして、適当な嘘で神社に呼んだ姉貴の背後を切る。神具は光を切り裂き次元の壁が現れる。
俺は切れてしまった姉貴の時間軸のヒモを結ぶ。姉貴は意識を失っていた。
俺は千夏姫と烈姫にこの時代に残るか最後の問いをした。二人とも凛とした顔で残ると言った。ふーう、安心したら力が抜けた。
その時である。神具である刀が黒く光り俺の生気を吸い取っていく。
禁術の定めか……。
「千夏姫、お別れだ。俺は長く持たない」
明智光秀は何を考えて信長を討ったのであろう?禁術を使えばこうなる知っていたのか……?力が抜けていくが不思議と怖くなかった。俺はゆっくりと意識が消えていく。
「千夏姫、またな」
……———。
俺は無限に広がる無の中にいた歩く先も見えず、彷徨にさえ疲れていた。気がつくと細見の男性が隣に座っていた。
「君には特別なモノを感じる」
「はぁ」
彼は織田信長と名乗り、禁術でこの無限の無に来た言った。
「例えばだ、わたしの殺めてきた者たちの呪いかもしれない」
彼は少し嬉しそうに語る。戦国時代……乱世に生きた者の定めであるようだ。
「君は違う時代から来たらしいな」
俺が頷くと彼は刀を抜く。
「この一振りでこの無限の無から出られるであろう」
彼は俺の後ろを切ると、次元の狭間が生まれる。それは、託されたのであった。
そう、姫達のことであった。
「あなたは?」
「わたしはこのすでにこの無限の無の住人である。言ったはずだ、呪いかもしれないと」
「そうか……」
俺は次元の狭間に吸い込まれて意識がなくなる。気がつくと千夏姫の腕の中であった。姉貴の時間軸のヒモを結んで一時間くらいしか経っていないらしい。
俺が無限の無の中で彷徨っていた時間は何であろう……?そして、織田信長と名乗った男性は……。俺は起き上がり。皆が揃っているのを確認する。
「皆で、たい焼きでも食べるか?」
千夏姫達は嬉しそうにするのであった。
姫様の事情 霜花 桔梗 @myosotis2
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