読んだら死ぬ

ヒガシカド

読んだら死ぬ

「その時はとても憎かったんだけど、今となっては殺した奴の名前すら思い出せないよ」

友人は言った。遺体は既に埋めたという。

「そもそも俺は本当に人を殺したのか?」

彼は急に神妙な顔になって、同じ問いをブツブツと繰り返した。

「認識されないものは実在するとは言えない」

「俺の殺しは誰に認識されるか?」

「俺とお前、それに死人だ」

「死人に口なし、俺の認識は俺が牛耳っている」

「お前だけだ」

彼は手近にあった何かを掴んだ。

 俺の足元で友人が崩れ落ちた。これで俺は人殺しでなくなる。誰も俺の行為を認識する者がいなくなるからだ。でも俺自身はどんな存在なのか?仮に記述される存在であるならば、俺の殺しを認識するのはお前


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読んだら死ぬ ヒガシカド @nskadomsk

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