解説
解説:辛佐治、剛毅なりや
テーマ「ルール」。
正直下手に縛られるよりきつかったです。だってルールに関する話なんてそれこそいろんなところに転がってますやん……けど最終的にこの話に落ち着きました。理由は「元ネタが好きだから」。
先に元ネタの話。
諸葛亮之次渭濱,關中震動。魏明帝深懼晉宣王戰,乃遣辛毗為軍司馬。宣王既與亮對渭而陳,亮設誘譎萬方。宣王果大忿,將欲應之以重兵。亮遣間諜覘之;還曰:「有一老夫,毅然仗黃鉞,當軍門立,軍不得出。」亮曰:「此必辛佐治也。」
北伐した
例によってもうちょい物語チックにも仕立ててます。こちら。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054884995008
三國志が
ちなみにあんまり情報量多くし過ぎても胃もたれするだろうから避けた話として、「そんないいもんでもあるまいに」と主人公、
陳寿の父、諸葛亮の北伐に関与してるんですよ。第一次北伐で、あの
その時に、陳寿の父もそこに連なり、
まぁただこれ、本筋に絡めるにはやや重いんですよね。なので、どなたかに「おっアレに絡めてんだな」とニヤリとしていただければ、的な感じで残してあります。
ところで、ちょっと時事ネタが入りますが、ちまたでは歴史小説家と歴史学者がケンカしていて、歴史小説家氏が「歴史の真実に対する俺のアプローチをバカにすんのか!」と激高されております。いやさぁ……そもそも歴史学者の提唱ですら、極論すれば仮説にまでしか辿り着けないのに、その仮説に立脚した推測でもって語るしかない小説家なんてぜってー真実になんぞ辿り着かないでしょうよ、むしろ仮説に基づいて読者を楽しませる嘘をつくことに誇りを抱いてほしいんですけど、などと考えています。
そう言うのもひっかけて、明らかにフィクションな方を事実だと示すかのよーな展開にしてたりもします。この辺の意図まで晒しちゃうのはやや下品ですが、まぁ元々品性下劣なひとだからね、仕方ないよね。
参考文献
世説新語 方正5
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054884995008
三國志
巻三 明帝紀
https://zh.wikisource.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9C%8B%E5%BF%97/%E5%8D%B703
巻二十五 辛毗伝
https://zh.wikisource.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9C%8B%E5%BF%97/%E5%8D%B725
巻三十五 諸葛亮伝
https://zh.wikisource.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9C%8B%E5%BF%97/%E5%8D%B735
晋書
巻一 帝紀第一 宣帝紀
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%99%89%E6%9B%B8/%E5%8D%B7001
○頂戴したコメント
2019年3月19日 kanegon様
三国志といえば、ご存知諸葛亮。ですが
カクヨム三周年記念、ルール企画作品。
諸葛亮の人物的魅力は、古今東西の創作の題材となってなお尽きることがないことからも窺えます。
本作品は、独特な切り口で諸葛亮に迫ったものです。
諸葛亮の時代より少し後に、諸葛亮について調べている士大夫を主人公とし、諸葛亮に会ったことがあるという老爺と会って話を聞く、というシチュエーション。
主人公の心の動きを描いた極めて硬質な地の文と、老爺の田舎臭さ丸出しの会話文が絶妙な配合で、この場にはいない諸葛亮の姿を浮かび上がらせていく。
その中で、諸葛亮ほど有名ではないけど、さじ、という一人のキーマンに焦点を当てることによって立体性を持たせる。
そして、主人公の士大夫はあの人だろうなあという予測を抱く読者も当然いるだろう中で、「三国志」という著作の立場の微妙さも描き出しつつ、その「三国志」の中でも隠し切れない形で光を放つ、さじ、の剛毅さ。
限られた文字数の中で、壮大な中国史のうねりの全体像を想像させつつも、その中で一瞬の光を放つ人物を、変わった切り口で見せてくれる。こんな作品を書けるなんてすごいなあ、とシンプルに感嘆する作品です。
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