おやすみせかい。

作者 長門拓

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★★★ Excellent!!!

2097年1月29日(火)

日記の日付から始まるこの物語は、日記での記載という形で進行していきます。
次第に明らかになる世界観と状況。日記の主の正体。
その日記の主は、自分をあるがままに認めつつも厭世的に感じているふしがあります。
だけどなにも変わりはなかった。自分のもちうる気持ちをけして言葉にはしていないけれど、相手への思いやりや行動で示してくれた。それはとても尊いものだった。オズのまほうつかいの「ブリキのきこり」を思い出しました。とっくの昔に、熱いハートを備えていたんだね、って。
とても静かな物語です。都市の住宅地で迎える新年一日目のような静けさがあります。あなたなりのオリジナルな音を脳に響かせながらこの物語を楽しんでください。思いやりの「音」が聞こえてくるようです。

日記の主はハートをもっているから。
きっとまたどこかでこんな声を聞くことができるでしょう。

おはよう、せかい(✿╹◡╹)

★★★ Excellent!!!

ああ、私はこのために生きて来たんだ。

そう思える瞬間を、一生のうちで何回数えられるだろうか?
創作家の方は創り上げる度に思っているかも知れないけれど、本当の本当に絶対このためにって思えることってなかなか無いのかなって思う。
それどころか、一度も感じずに死ぬ人もいるかもしれない。

でもこの日記の書き手は、それを感じることができた。なんて幸せなことなんだろう。

でもそれも、バグが無ければきっと起きなかったこと。
バグってのは、完璧になればなるほど、必要なものなのかも知れない。
だとしたらバグだらけの我々ってのは、案外幸せだったりするのかも知れないなあ。
そんな優しい気持ちになれる、世界の終わり。

★★★ Excellent!!!

何とも人間味に溢れる日記で、短編であるのがもったいないと思える一編です。

日記の内容から、さりげなく、かつ大胆に、世界がぶっ壊れたのが読み取れて、読み手である自分の存在をどこに置いたらいいんだろうと、いろんな角度で感情移入できました。

日記って、誰に読ませるわけでもないのに、外部記憶装置として更新され続けるものですね。