空虚と温度

目を開くと、薄暗い部屋の机の上に広がった未記入の英語のプリントが視界に飛び込んできた。


 ………………………


 やっちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


 え? うそ? 今何時? 


 窓より上の一層暗くなった場所に設置された壁掛け時計に目をやると――四時半!? 二時間以上も私、妄想世界に入り浸ってたって事!? 


 そんな事より鈴城くんは!? ……あ。


「え…………ほん……とに?」



 妄想の世界で欲求を満たして帰ってきた後は、いつだって虚しい。今回だってそうだ。


 でも、今日だけはひとつだけ違った。


 クラスメートの覚醒を待ちくたびれた鈴城君は、私の隣で眠ってしまっていた。


 しかしその左手は間違いなく私の右手にしっかりと重っており、いつもなら絶対に感じる事の出来ない現実世界のぬくもりを私に与えてくれていた。今日は勉強は頑張れなかったけど、恋の方は多分すっごく頑張れたと思う。私はしばらく、このままの体勢で彼の温度を感じる事にした。


    おしまい

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妄想炸裂ガール なぎの みや @nagino_miya

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