3.あの時すれ違った光

意識がハッキリとしたのは3歳頃


記憶はほぼ無いけど


けどこれだけは確かに言える


彼女が大事に思ってた。

あの時すれ違った光のこと。

誰にも話せない唯一の記憶のお話。



記憶にあるのは古い家の仏壇と家の中の風景


それとそこに飾られていた1枚の子供の写真


誰なのかわからなかった

何故赤ちゃんの写真が飾られてるのかも

わからなかった


なんとなく…

聞いちゃダメな気がしていた


そして兄が教えてくれたのだ


「この子はお前のお兄ちゃんだよ」


そう、目の前の兄とはべつに

他にもう1人家族が居たのだ…


彼女はその時初めて知った


(あぁ…あの時すれ違ったのは…すれ違った光は…)


(私の兄で…そうか…そうなんだね…)



誕生日を聞いたらなんと七夕の日だと言う


彼女の誕生日は七夕から3日後だった



こんなことがあっていいのか…


こんなことが…あっていいのか?


自問自答した


怖くなった


その時から彼女は自分の背後に

誰かが居ることを感じるようになった



あなたが居てくれたら

私はもっと違う人生をおくれたかもしれない


あなたが居てくれたら

もっと楽しく生きていられたかもしれない


責めても仕方ないよ

ただ、ごめんなさいって聞こえる気がする…


あやまらないで…

こうして呪縛してるのは私のほうだから…


見守るとは言ったけどなにもできなくて

ゴメンな


そう言われてる気がしてならない…




彼女はこの先身ごもることが3回ほどあった


その時フワッと現れては教えてくれた人物が居た



最初に身ごもった時は

寝る時に不安に苛まれ寝つきが悪すぎたときに

ふわりと現れては話し相手をしてくれた


2人目を身ごもった時は

夜に寝てる彼女を起こして

じっと彼女を見つめて気づかせた


3人目を身ごもった時は

これまた夜に出てきて

部屋の天井の隅っこから出てきて

お腹に指をさした



彼女はそれ以外でも時々夢の中で

彼を呼ぶらしい


だけど向こうからの返事は無く

寝付けない時に沢山会話したことが

今は懐かしく思えるみたいだ





ねぇ…まだ…そばにいてくれてるかな


ねぇ


まだ…そばに居る?


それとも…もう、独り立ちできたのかな?


私がそっちへ行く時はまた会えるといいね


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

正義を飾りのように見せびらかす大人達 ˙˚ʚ奏翔ɞ˚˙ @souka0707

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ