2.人生の始まりの記憶
話を戻そう
いきなりパラレルワールドのように
違う時間軸へ誘ってしまったようだ
すまない
なにせこうして人と話すのは久しぶりなので
違う時間軸へ誘ってしまう
コントロールが難しい
その内慣れるのでそれまでは我慢してくれ
『ワタシ』の紹介がまだだったな
『ワタシ』の認識は
近所に住んでるとても明るくて元気なやつ
いつも笑顔でうるさい
授業中はいつも寝てるので成績は言うまでもない
そんな奴だ
え?ソレは主人公の事じゃないかって?
ソレはソレ
コレはコレだ
え?それでは説明になってないだと?
そうだな…
『見物人』とでも言っておこうか
人がどう成長し
どう感じているのか
一緒に見ていく『見物人』
彼女の人生に我々の存在は皆無…
なので『見物人』だ
それで納得してくれないかい?
我々の人生と彼女の人生
どう交わるのかも楽しみだ
ちなみに今の所交わる予定は無いらしい
さて…と。
ほんの少しだけ時間をスタートさせよう
彼女の人生を…
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コポ…
コポコポ…
(ココは…ドコ…?)
水の音…
(あぁ…温かい…)
少しだけ前が明るくなる
一瞬暗くなり青い光が入ってくる…
周りがキラキラしてる
とても綺麗だ
(ココは…どこだろ…?)
また暗くなり
(怖い…ココは…どこ?)
気がつくと白い世界に座って頭を下げていた
「聴こえていますか…?」
名前を呼ばれた気がした
「は、はい!!すみません!聴こえています!」
とっさに頭を下げながら言葉を口にする
初めての『言葉』だ
少し違和感がある…
「いいですね?必ず成し遂げて下さい。あなたの人生です。私は助けられませんからね…?」
その口からは心配したような口ぶりで
何かを頼んでいるように聞こえる
「わかっております…あなたを困らせないよう、誠心誠意務めて参ります」
彼女の応えもしっかりとしている
「はぁ…」
とても心配している
「わかりました。送りましょう。行ってきてください!」
そう言うと白い世界の足元が
ぽっかりと空いた
彼女はとある家の屋根を見た
誰かが外で走っている…男の子?
どうやらその家に彼女は行くらしい
その時その家から真っ直ぐ
コチラへ青い光が飛んできた
彼女はすれ違った「なにか」と
後ろを振り向き声をかけた
「どうしたの?!」
とっさの出来事でそれしか言えなかった
遠くでこう返してくれた
「ボクの役目が終わってしまったみたいだ!」
「あとはキミに任せることにするよ!」
そう言い残した声がずっと心に残っている
一瞬だけハッキリと家の中が見えた
そして
強烈な眩しい光が彼女をおおい
ソレにビックリして泣いた
彼女はこの世に生を受けたようだ
この後しばらくして
青い光の主は彼女の傍に居た
誰にもわからないその存在
誰にも認識されることがない存在
だが彼女だけは「なんとなく」その存在を知っていた
青い光の主はすれ違ったあと
こう叫んでいたからだ
「しばらく頼んだ!その代わりボクがキミのそばに居るから!」
そう叫んだからだ
言わない約束だったハズなのに
誰にも言わない約束だったハズなのに
生きていくのには…
夢だと思いたくない現実だってあるんだ
逆もまた然り…
夢だと思いたい現実だってあるんだ
そう
この家を選んでしまったという現実を…
彼女はいつか知る
何も無い無垢のままのほうが綺麗なこともあるんだと
彼女はいつか知る
約束は…思い出は…いつか…
忘れてしまうのだと…
彼女はいつか後悔する
あの時 空の上から
「生きること」を選択して良かったのかと…
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