1.生きていくのに大事なものとは?


時は経ち


彼女のその数十年後


の、とある日の平日

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医者

「今日はどう?ご飯は食べれてる?」



白い白衣を羽織り中のシャツが色物の先生

先生の趣味なのか…

はたまた誰かが選んで買ってきてくれたのだろうか…

あまりに白衣とは合わない色だ…


そこにメガネが知的っぽさを表しているが

メガネだけでそこまで印象を変えるのはむろん

顔だけだ…


パソコンのキーボードを

リズムよく叩いて先生が自分の質問を入力している


入力が終わるころを見計らいながら

彼女は話し始めた




「えっと…あまり寝れてません…」


「ご飯も…外食ができないので外へ行く時は食べません…。食べることに…なんと言うか…口に含むのが…しんどくて…」



うんうん。と、顔をチラチラみながら

相づちをうちながら

白衣の先生はニコニコして話を聞きながら

手を止めず彼女が発した言葉一つ一つを

全て聞き逃さないようにパソコンへ打ち込んでいく



「お薬は?飲めてますか?」



最初の質問よりもかなり声のトーンが優しくなっている。



「寝過ぎてしまいますが…起きてるとしんどいので…」

「眠剤の飲む時間はバラバラですけど…」

「…ご飯の食べる時間も過ぎるくらい寝てしまいます…」



パソコンを打つ先生が気がかりなのか

話し方はややゆっくりに報告する






ここは心療内科


精神障害や発達障害の境界線に居てるボーダーでも

多少荒さがある知的障害でも

なんでもござれの病院




…私は死にたくて

でも死ねなくて…



そんな考えを持つのもおかしのかもしれない


人生何が起きるかわからない



初診で来た日は心臓の鼓動が爆発でもしてしまうんじゃ無いだろうか、という程の鼓動の速さで

緊張で馬鹿みたいにカチカチだった

受付して待合室で待たず速攻にトイレ逃げ込んでいた



だけど今となっては慣れてしまえばどーにでもなった…


先生や病院のスタッフがしんどくなれば

声をかけてくれと、受付で毎回最初に声をコソッとかけられた


それだけで、心のどこかが安心する

この一言はまさに女神様からの伝言のような…

そんな気がする程に…




医者

「うーん…。このお薬はあまりかなぁ…どうだった?」


メガネが少し下がってきたのか

さりげなく手の甲でスっと上に上げながら

質問してタイピングしている



彼女も最初の緊張が和らいできたのか

先生への緊張をほんの少しだけといた



「効きすぎてしまいます…寝るのはいい事なのかもしれないんですけど…何もできないと…自分がその…母なので…それに、一緒に住んでる人に…その…悪いというか…やっぱり色々言われるので…」


自分が悪いのに他人が悪いみたいな言い方になり

しどろもどろな言い方をする

コレで合ってるのか?と、自問自答しながら

先生の質問に答える



しばらくして先生との話を終えると

また1ヶ月後かな?と、予約を入れる


待合室に出てしばらくすると

名前では無く番号を言われた


診療代を払い

外に出るととてもいい風が頬をかすめる


今日は特にいい天気だ


空が青く雲一つない



彼女は

知的障害からの2次的な精神障害をもっていた






人は産まれる瞬間1人で産まれてくる


と、言うが

矛盾してる点がいくつかある


1人と言うのは赤ちゃんをさしているのだろう

が、しかし、

考えてみると

赤ちゃんと言うのは

男と女の性交渉でできるもので

2人が愛し合わないとできないものだ


いや…


合意の上という観点からの話だ


コレがもし、合意の形でも無かったとしても


性交渉自体をしてないと赤ちゃんはできない



コレがまず1つ


そして


赤ちゃんはお母さんの力を借りないと

お腹の中での成長はまず難しい


2つ


そして


産まれる日も

病院で沢山の人とお母さんの力を借りて

やっとこの世界に出てくることができるのだ


3つ




私は時に思う




(この世に産まれて1人では生きていけないのでは無いか?)


(誰かの助けに、又は誰かを助ける人、何かに属さなければ…生きてはいけないのでは無いか?)


(その自由は誰も決められないし、決め付けることもできない)


がしかし…時に…


(周りの大人が決めつけて生かされてきた命は…どこにも行きつくことができずただただゴミのように丸く転がり続けるだけなんじゃないかと言うことに気づいた…)

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