くるり くるり ダンス

沙耶

第1話


 早朝、樹上ではメジロたちが宴会を開いている。甘い蜜を吸いながら楽しそうにおしゃべり。スズメは羨望と嫉妬が入り混じった眼差しで、それを見つめていた。一度真似をしてみたのだが、太いクチバシが花の中から抜けず大変な目にあったのだ。

 どうにかしてあの蜜を吸いたい。悩んでいる間にも、メジロたちはおいしそうに花から花へ。スズメは我慢できなくなって、根元にかぶりついた。甘い香りが広がった瞬間、コソコソと声が聞こえる。

(まぁ野蛮)

(お花ごとちぎってしまうなんて)

 いたたまれなくなったスズメはその場を飛び去った。


 くるくる、くるくる、弧を描いて落ちた花。通りすがりの女の子が髪の毛に挿してにっこり、駆けていく。

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