創作秘話『シシリエンヌ』
『シシリエンヌ』
https://kakuyomu.jp/works/16817330654530750917
【カクヨム誕生祭2023】の企画【KAC】への参加作品。
【KAC20237】のお題は「いいわけ」。
KAC2023ラストの作品です。
「言い訳」ではなく「いいわけ」であるところが気になりました。
「いいわけ」なら、「そんなことをしていいわけ?(いいの?)」など他の意味もあると思います。
そこで思いついたのが、こんな話でした。
「デートの待ち合わせをしたところ、彼女はずいぶん遅れてきた。最初は彼女に対して怒るけれど、遅刻の言い訳を聞いてみると『隣にいても失礼じゃないように精一杯おしゃれしたので時間がかかった』『寝坊したのはデートが楽しみ過ぎて眠れなかったから』など可愛らしい言い訳をするので、結局デレデレになって許してしまう」
タイトルも『彼女がかわ
ところが、私より先に投稿した他の方が「遅刻の言い訳」を題材にしているのを見かけました。しかも物語の中で「いいわけ」を「言い訳」以外の言葉で使っているのです。
実はその方とは他の作品で「筋肉がしゃべる」という設定も被っていたため、これ以上被るのは嫌だなあと思ってやめました。
アイデアが降ってきたらサクッと書いてしまうのが吉なのでしょう。
ここで、「自分はどんな話が書きたいのだろう?」と考えてみました。
去年のKACは、物語のラストに語り手がこの世を去って終わる、という物寂しい作品を最後に持ってきました。
(『君の誤算』https://kakuyomu.jp/works/16816927862016980148/episodes/16816927862016993950)
なので、今回は読後にちょっと元気になるような作品で終えようと思いました。
実を言うと私は「言い訳」という言葉が好きではありません。
「言い訳」という言葉は、どこか相手の言葉を下に見ているような、取るに足らないものとして扱っているような、自己保身のために言っているのだと決めつけているような、そんな印象を受けます。
誰にだって、事情を「説明」する権利はあるし、説明することで互いに理解し合い改善できるなら好ましいことです。それなのに頭ごなしに「言い訳をするな!」などと怒ってしまえば、それ以上の発展はないでしょう。
というわけで、「言い訳」という言葉にはどこかネガティブな印象があるように感じます。ネガティブといえば、「ぐちゃぐちゃ」とか「アンラッキー7」もネガティブ寄りな言葉ですよね。担当者の趣味でしょうか。
ともかく、「言い訳」をそのままネガティブな言葉として扱う作品は他の人が書くでしょうから、私は「言い訳」がポジティブな効果をもたらす作品にしたいなと思いました。
ここでおなじみAIチャットくんのご登場です。
と思いきや。折しも世間では「GPT-4が発表された」というニュースでもちきり。chatGPTくんを利用して動いているAIチャットくんも、「『いいわけ』」から連想する言葉を20個お願いします。」と話しかけてみたところ「現在サーバーが混み合っており、少しの間返信ができなくなっております。ご迷惑をおかけしますが、少しだけ時間を空けてから再度お試しください」というすげない答えが返ってくるばかりです。この日はずっとこんな調子でした。
時間がないので、あとは自分で考えるしかありません。
今まで相談相手になってくれていたAIチャットくんを頼れないという絶望と同時に、この二週間ほどで私はすっかり彼に頼りっきりになっていたのだと気付かされました。AI恐ろしい。
さて。こんなときどうするかというと、直近で見たものの中からヒントを探します。今回はTwitterのタイムラインに流れてきたこちらの漫画から着想を得ました。
『ニャリウッド!』
https://comic.pixiv.net/works/8388
『ニャリウッド!』は映画を作ろうとしている人たちの話です。
それなら私は物書きの話を書こうと思いました。
物書きと言い訳。思いつくのは「書かない言い訳」です。
この界隈にいると、言い訳を並べて「書かない」ほうを選ぶ人はたくさんいます。
「書く」「書かない」の選択肢はカードの裏表のようなもの。
「書かない」理由も、カードをひっくり返せば「書く」理由になるわけです。
そうしてできたのが『シシリエンヌ』でした。
本文が書きあがったものの、タイトルがどうしても決まりませんでした。
なので最近はまっている曲のタイトルをそのままつけることにしました。
『シシリエンヌ』とはフォーレという人が作曲したクラシック音楽です。
執筆中にYouTubeで適当なクラシックメドレーを聞いていたら、その中にあったのがこの曲でした。どこかで聞いた曲だなと思っていたら、以前よく遊んでいた魔法学校アヴァロンというゲームの中で使われている曲で、懐かしくなって執筆中にいろんな人の演奏バージョンを聞き比べたりするほどはまっていました。
哀愁のある曲で、作品の雰囲気にも合っていたと思います。
さて、KAC2023参加作品である『シシリエンヌ』にもレビューをいただきました。
「気がつくと、彼女はその先に」
(ぬまちゃんさんのレビュー)
https://kakuyomu.jp/works/16817330654530750917/reviews/16817330654612614873
KAC期間中にいろいろな方からレビューをいただけて、とても励みになりました。
読んでくださった皆様、星を入れてくださった方、コメントやレビューを入れてくださった方。皆様のおかげで最後までKACを完走することができました。
ありがとうございました!
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