5話 変態紳士と怠惰な引きこもり少女

マシロを連れて喫茶へ行こうと決めた次の日の夕刻のこと。高校から、下校すると、バイトのシフト組んでいた夕方にマシロを連れて、喫茶セレナへと訪れることにした。



マシロは、喫茶へ行ってもいいけど

アパートを出たくないと言う。どっちなんだ......

そんな、マシロは、手ならあるよ。と言い、呪文を詠唱するとと自身の転移魔法を展開する。


「一度、位置情報を確認しておけば、

何処へでも転移出来るんだ」

とハナタカに説明するマシロ。

「便利だな。そうか、喫茶へはこの前招いたからか!」と

納得して転移方陣の中へと入りマシロに連れられてオレは、喫茶セレナへとと転移するのだった。


街の中心街に建つ大きなビルの影になるようにしてその存在が影りを落としている喫茶セレナ。その喫茶の客足は盛況しているといえばそうでもなく、崖っぷちというわけでもない。

言わば、良くも悪くもない平常運転の状態が続いている。


喫茶の中へ入ると喫茶の顔である受付カウンターに立つ金髪碧眼の童顔美少女の茉里愛が出迎えてくれた。


「お客さんですか?いらっしゃい。」


茉里愛はマシロを見て朗らかに微笑む。


「あっ…えっと...」


マシロはビックリしてオレの後ろへと隠れる。


「あははー、照れてるー可愛い。」


「その子は?先輩の妹さん?」

「いや、違う。こいつは......」

どう説明したらいいかと応えに困っているとカウンターの奥から店長の葵が賑やかになった店内の様子を見に顔を出してくる。


「進藤くんがこんな若いお客さんを連れてくるなんて、一体どうゆう関係?」


そ言い店長はマシロとの関係を聞いてくる。

「親戚の子が都会に出てきたから街の案内をしてるんだ。」

と一番、納得して貰えるであろう応えを伝える。


「そうなんだ。せっかく喫茶に来たんだ、ゆっくりしていってね。」と店長がチョコレートケーキとカフェラテを出してくれて優しく言い去っていく。



そんなことをしている間に新たなお客さんがカランコロンと扉のベルを鳴らし来店してきた。とっさにマシロは進藤の陰へと隠れる。

そこには、息を切らした冒険者風の男が現れて、チョコレートケーキを食べてカフェラテを飲んでいるマシロの姿を見て、「なんで、マシロが、こんなところに居るんだ?!」


「探したんだぞ!いきなり、決戦前にパーティーを離脱するから。」

感極まって言ってくる。

「ご、ごめん...」

「ごめんで、済んだら自警団はいらない!」


「おかげでお前抜きで魔女との戦いに挑む羽目になったんだからな。」


とアウルは今までの苦労を思い出して自分の中に湧き上がる想いを抑えられないで怒る。

「うー...」

マシロは、申し訳ない気持ちでいっぱいでアウルから視線を反らして萎縮 いしゅくして俯く姿勢になる。



「でも、良かった。マシロが無事で。」


と目尻に涙を浮かべて言う。


「よかった、よかった。感動の再会だな。」と、進藤その一部始終を見て言う。


「さあ、一緒に帰ろう。」

とアウルは、マシロに手を差し伸べる。

が、マシロがその手を取ることはなかった。

「オレ達は帰るけどお前はここに、残るのか。-風邪ひくなよ。」と言うアウルは、マシロを心配して言葉を贈り喫茶を後にするのだった。

「いいのか?一緒に行かなくて。」

「いいの!だって、元の世界一に戻ったら日朝のアニメが見られないじゃん!」

と屈託のない笑顔で言うのだった。

翌日、学校から帰宅するとリビングの座椅子に座りポテチを食べながらテレビを見る銀髪の少女が居た。

それは、怠惰の限りを尽くすマシロの姿がだった。


オレが帰ったことに気付くと、「おかえりー!」とにこやかな笑顔を見せる。かと思うと「ジュース買って来てー。」などと抜かしてくる。まったく、うちの居候には世話が焼けるぜ!














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変態紳士と引きこもり魔導師 高月夢叶 @takatuki

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