語尾に『にゃ』を付ける女子が急にしおらしくなるのとかみんな好きだろ?

りゅーと

第1話『麻桜と多摩』

「ねぇ〜、麻桜ちーん!」


「菓子ならそこの棚にあるぞ」


背中を足でとんと突っつかれたが、漫画を読んでいる俺は振り向きもせずに答える。

はしたないからやめなさい!

と言っても彼女、夜桜 多摩(よざくら たま)は、

「聞く耳持たんにゃー!!!(*`ω´*)」

と言って直してはくれなかった。


「ほんと麻桜ちんは私のことなんでもわかるんだにゃ〜」


のろのろと棚に歩いていき、四つん這いになってゴソゴソと棚を漁る際どい彼女をチラ見して俺は、


「まぁ幼馴染だからな、例えば今日のお前の下着の色は......」

「や、やめるにゃ!そういうエッチなのはまだ早いと思うにゃ!」


バッとスカートを押さえる多摩。

そう、俺とこいつは俗に言う幼馴染である。

決して妄想とかでは無い。

華の大学生が休日に誰もいない部屋で妄想幼馴染と会話してるとかまじでシャレにならん。


「はぁ〜、やっぱ麻桜ちんの家は落ち着くにゃ〜(*´ω`*)」


「そうか、それは良かった。俺も多摩といると落ち着くよ」


「にゃ〜」


多摩はお菓子を食べ、俺は漫画を読み、そんな何気ない1日。

そんな何気ない......1日......


「これじゃだめだろぉぉぉ!!!」


「にゃ!にゃにゃ!?どうしたのにゃ!急に大声出して!」


多摩は猫のようにフシャー!と威嚇しつつお菓子を食べる。

いやお菓子は食うんかい。


「俺たち華の大学生なわけだろ?」


「う、うん。5ヶ月前に入学したばっかだにゃ」


「そうだろう、そうだろう。だがしかーし!!!」


「にゃにゃ!?」


俺が大きな声をあげると、またも多摩はビクリと肩を動かす。

......お菓子はなおも食っているが。

びっくりする度にお菓子が飛び散っているのでやめて欲しい。


「多摩は一向に友達を作る気配が無いし、ずっと俺の家にいるじゃねぇか!」


「なっ!私は麻桜ちんがいればそれでいいにゃ!異論は認めんにゃ!٩( `^´ )۶」


男的にはそんなセリフを女の子から言われるのは嬉しいに決まってる。

でも俺はある問題をここではっきりとさせなくてはいけなかった。


「でもそれじゃあ俺か多摩に付き合ってるやつができたらどうなるんだ!」


「え!?麻桜くん......彼氏出来たの......?」


俺が言った言葉を聞き、多摩は涙目になり、消え入りそうな声でそう言う。

多摩は落ち込んだ時や、俺以外の前では『〜ちん』や、『にゃ』などの言葉は使わない。

ごく普通の女の子のような言葉を使う。


「いや違う違う!!!出来てないから!」


「ほ、ほんと?」


俺の服をきゅっと摘み、うるうるとした瞳を向けてくる多摩。

惚れてまうやろ。


「あ、あぁ、ほんとだよ。俺の親しい女友達なんて多摩以外にいないしな!」


「わ、私も麻桜くんだけだよ......?」


やばい、まじでやばい。

どんなくらいやばいかっていうとまじでやばい。

控えめに言ってやばいしやばい。


「にゃーんだ、安心したら眠くなったにゃ!おやすみ麻桜ちん!!!(*`ω´*)」


先程とはまるで別人の様な多摩は普段の口調に戻っている。

そして、うとうとしながら俺の膝の上に頭を乗せて一瞬で眠りについた。


「はぁ、なんだかなぁ......」


これはそんなふたりのお話。

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語尾に『にゃ』を付ける女子が急にしおらしくなるのとかみんな好きだろ? りゅーと @takedatakeda

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