あの頃の僕たちはどうしようもない成長に抗うすべを知らなかった

新坂さんという一人の少女の視点で、合唱で声が一人だけ合わない島井を気にするところから始まるこの作品なんですが、4000字以下とは思えないくらい内容が詰まっている素敵な小説です。
声変わりという少年にはどうすることも出来ない成長、本音をつい漏らして取り乱す島井。
デリケートになりかねない思春期の体の変化やアイデンティティに関わる問題を、変に説教臭くならずに向き合って描いているこの作品の結末は本当に「こういうありかたもある」というものでした。
成長すれば、克服は出来なくても自分との付き合い方の幅も増える…そう思える素敵な作品です。

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