第3話 幼馴染と家飲みしてみた。

 「カワイイ子捕まえてきなよ?私は賢者の塔を空けとくから、お持ち帰りしたあとはちゃんと押し倒すんだぞ?」

 とソフィー先生は僕を揶揄した。


 賢者の塔を離れ、繁華街に行く。ナンパねぇ。行き交う女の子たちは僕のナンパするオーラを感じてか、僕を避けて歩いていく。どうしよう?僕にナンパなんてできるんだろうか?くそ、でも魔法使いになるための修行だ。諦めるわけにはいかない。次通りかかった女の子に道を聞いてみることにしよう。


「すいません、道に迷っちゃいまして教えていただけませんか?」

 と道ゆく女の子に話かける。すると


「旅の方?どこへ行きたいのですか?」

 女の子は僕に道を教えてくれようとしてくれた。


「賢者のソフィーさんの塔へ行きたいのですが」

「ああ、それなら繁華街ではなくて街外れです。結構ここからはありますね。あっちの方ですよ」

「ありがとうございます、お礼はさせていただきますから。案内お願いできませんか」

 と道案内も頼んでみた。

「いや、それはちょっと。ごめんなさい」

と断られたその時だった。


「あれ?アークじゃん。何やってんの?」

 とサバサバした調子でエリーが話しかけてきた。幼馴染のエリーは女騎士として街の巡回をしていたのだ。

「いや、その。ちょっと道を聞いてただけなんだけど」

「この人賢者のソフィーさんのところに行きたいらしいんです」

 と声をかけた女の子がエリーに伝える。

「へー賢者ねー。あ、そっか。お前魔法使いになりたいって言ってたもんな。私が案内してやろうか?」

「ありがと。じゃぁ、お願いできるかな?」

 僕は大好きなエリーに道案内されながら今僕が住んでいる女賢者ソフィーの塔まで歩くことになった。なぜ僕があんまり女の子してないエリーを好きかというと彼女は小さいころ体が弱かった僕をお姫様抱っこして、色々な場所に連れて行ってくれたからだ。そう、今でこそ同じぐらいの背丈だけど、彼女は3歳年上のお姉さんでよく遊んでくれたんだ。

 抱きかかえられているとき僕はいつもドキドキしていた。近所のお姉さんへの憧れの気持ちは今でも忘れることができない。

「へーお前賢者に弟子入りしたんだ?でも今そこに住んでいるんだろ?道なんてなんで聞いていたの?」

 僕はエリー姉さんには嘘一つつくことができない。なぜなら

「いや、おれ方向音痴になっちゃったのかなぁ。ははは」

 と僕が誤魔化すと

「あーなんか隠し事しているだろ?」

 そう彼女は付き合いが長いからすぐカンづいてしまうのだ。

「実は……」

 と僕はことの顛末を話す。女の子をナンパすることを魔法使いの修行として課せられたと。

「ふーん、よくわかんねーな。まぁ、私は魔法使いじゃないからな。じゃ、今回は特別にお姉さんがナンパに引っかかったってことにしてあげようか?」

 とエリー姉さんは申し出てくれた。

「いや、勤務中なんでしょ?大丈夫なの?」

「大丈夫だって、巡回の後は直帰だからさ」

 そうこうしている内に賢者の塔に着いた。


 すると九官鳥の石像キュウちゃんが

「アーク、よくやった!女の子と一緒に塔の中に入れ!ご主人様はお出かけ中だ」

 と言い扉を開けてくれた。


「石の像が喋るんだ。さすが魔法使いの塔だね。お邪魔するよ?」

 とエリーも一緒に中に入り階段を登ることになった。

 忘れていたが階段の途中には例の女の子の肖像画が並んでいる。

「あら?妬けちゃう。素敵な夜をね?」

「誰もいないからゆっくりしていってね?」

 とか喋りかけてくる。

「はっ、なぁ、この肖像画素敵な夜とか言っているぞ?受けるな!おい、弟みたいなお前とそんなふうになるわけないのになっ」

 と僕が泣きたくなるようなことを言うエリー姉さん。脈はないかなぁ、これは。はぁ、でも諦めないぞ。


 エリー姉さんをリビングルームへと案内する。ドアを開けて、テーブルの周りの椅子に座る僕ら二人。

「ちょっと待って、飲み物持ってくる」

 と言ってお茶をコップに入れて持っていくと

「アルコールはないの?疲れちゃってさ、一杯やりたいんだよね?」

 とエリー姉さんが言うので僕はワインとおつまみを探し出しテーブルの上に並べた。


「いやー騎士も楽じゃないよ。この間、王子の警護を任されてさ、やんごとなき方の相手は疲れるってもんじゃないし」

「エリー姉さん、わかるよ!僕も賢者さまの助手しているけど気を使うし、目上の人には逆らい辛いしね」

「ソフィーって賢者、そんなにイヤなやつなのか?聞いた話では結構な美少女らしいけど?お前も男の子だから、悪い気はしないんじゃねーの」

 とか好きなエリー姉さんに言われると辛い。僕は女らしくなくてもガサツでも、昔優しく接してくれた貴女と結ばれたいんだ。


 とその時だったリビングルームの扉が突然開き、ソフィーが入ってきた!あれ?留守じゃなかったの?

「ふーん、ちゃんとお持ち帰りできたんだ。その娘をナンパしたわけ?あんた、そういうのがタイプなんだ。私と対照的ね……。で?喧嘩売ってんの?」

 とご立腹のソフィー先生。

「おい、賢者の先生がなんか妬いているみたいだな?お前ら付き合っているの?」

 とエリーが聞く。当然僕は

「ただの弟子と師匠の関係だよ?」

 と応えたが同時にソフィー先生が

「将来を約束した仲です」

 と恐ろしいことを言った。

「ちょっとお師匠様止めてくださいよ。誤解されたらどうするんですか?」


 するとソフィーは僕の方に小走りで近寄ると。パシーンと僕の顔を平手打ちした。さらにエリー姉さんを睨めつけると、

「この泥棒猫!アーくんは私の大事な助手なの。渡さないんだから!」

 と叫んだ。


 どうなっているんだ。

「いや、大丈夫。盗るつもりないし。私はこいつの姉貴みたいなもんだからさ?弟に良い人ができたと知って嬉しいよ」

 と僕をさらに落胆させることをエリー姉さんは言った。

「お邪魔みたいだから、帰るよ。アーク、彼女を大事にな?」

 エリー姉さんはそういって塔の階段を降りて行った。


「アーくん。私がなんで怒っているかわかる?私はナンパしろって言ったよね?あの女騎士のどこが恋人候補なの?ガサツで色気の欠片もない。あれじゃぁ、体内の魔力が全然活性化されないじゃない!時間の無駄だから早々に退散してもらったのっ。次はもっと色気ムンムンのエロいお姉さんとか、清楚さで男の欲情を煽り立てるビッチをナンパしてくること!もう!ちゃんと修行してよね?仕方ないから今夜は私があなたの相手になってあげる」

 

 そう言ってソフィー先生は僕をキュッと抱きしめた。甘い香水と暖かい体温を感じる。僕はエリー姉さんに完全に振られたことで泣きたかった。だから、その怒りをソフィー先生にぶつけた。八つ当たりなんかじゃないよね。だって先生の行為で僕の恋は壊れたのだから。


「ソフィー先生のバカ」

 僕は先生に抱かれたまま涙を流した。
















































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女賢者のHな魔法の授業「童貞死守魔力鍛錬法」 広田こお @hirota_koo

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