自主企画「罵倒されたい作品」について。

2022年05月07日


 どうも、あじさいです。


 先日、「罵倒ばとうされたい作品」を募集する自主企画を立てました。

 1作も集まらないならそれでも良いと思っていたのですが、こんな企画でもちらりほらりと参加作品があって、主催者ながら少し驚きました。


 企画を立てた後にこのエッセイのPVが伸びたところを見ると、おそらくヒントを求めるかたが何人かいらっしゃったのでしょう。

 ということで、今回は開催中の自主企画について書かせていただきます。




 なぜこんな物騒な企画を立てたのか、企画の概要欄では経緯を説明するつもりでしたが、最終的にそこは端折はしょりました。

 端折らずに簡単に申しますと、メンタルの強い書き手さんを見つけたかったのです。

 とはいえ、別に、メンタルが強くない書き手さんと何かあったとか、そういうことではありません。


 このエッセイではいつものことですが、筆者は最近また精神状態をくずし始めており、何もないのにイライラしている時間が増えてきました。

 手頃な気晴らしが見つからないこともあって、新たなWeb小説をあさっています。

 フォローしている作品にも読めていないものが多いですが、ピンとくる作品はその時々で違ってくるものです。

 しかし、そういう状態で読んだ、はじめましての方のWeb小説に不備を見つけたとき、何も言えなかったり、相手のメンタルに配慮してただし書きの数々を書かねばならなかったりする事態を考えると、興味を引かれる作品を見つけても安易に読めなくなります。

 そのため、きつい言い方をしても大丈夫な作品と書き手さんを、あらかじめつのっておこうと思ったのです。




 「罵倒ばとう」という言葉の使い方は、皆さん引っかかりを覚えていらっしゃると思います。

 「批判」、「率直な感想」、「辛口の批評」、「毒舌のコメント」、「酷評」など、他に言い換えられそうな言葉が色々ありますが、どうして「罵倒(激しい言葉でののしること)」という言葉を選んだのか。

 そして、どうしてあじさいはこの企画でこんなにも上から目線で物を言っているのか、と。


 一種のネタバラシになりますが、別に筆者が誰かに暴言を吐きたいわけではなくて、参加したら暴言のような批判をされるというくらいの心積もりでいてほしい、というだけです。

 この思惑のために、「酷評」よりひどい言葉を使うことにしました。

 酷評は、良いところも悪いところも批評的に見ようとした上で、結果論として悪いところの指摘に終始するというものですから、「読む前から酷評するつもり」なら、それはもはや「罵倒」というわけです。


 良いところがあればちゃんと褒めます、と言っておいてさらりとしか褒めないのでは、ガッカリされるかもしれませんが、褒める気は最初からない、むしろ罵倒するつもりだと宣言しておけば、「こういうところは評価できるんですけどね」くらいの書き方でも許してもらえるんじゃないか、と思っています。




「じゃあ、概要欄にそれを書けばいいじゃないか」

 と思われるかもしれませんが、筆者の考えでは、そういうわけにもいきません。


 というのも、

「批判的なものであってもコメントが欲しい、そんな作品を募集します」

「酷評されてもいいという方は、作品を置いていってください」

 くらいの温度感で企画を立てても、そこに集まる参加者の多くは「PVを増やしたい、コメントが欲しい」くらいにしか考えないと予想されるからです。


 そういう書き手さんたちは、筆者が平常運転で長文のコメントを送ったところで、「えー、いくら何でもこんなに言われるの?」とドン引きしたり、真剣に取り合わなかったりする可能性があります。

 筆者としては、そういう可能性があると考えねばならないこと自体が、ひとつのストレスです。


 信じがたいことに、「コメントをください」と散々アピールしておきながら、もらったコメントに返事をしない人や、プロフィール欄に「誤字脱字は見逃してね」と書いている人を、ちらほら見かけます。

 筆者はなるべく確認しないようにしていますが、明確な誤字の報告を受けて丁寧な返信をしてくれたところまでは良かったのに、いつまで経っても誤字を修正しない(作品の更新日が新しくならない)人もいました。

 筆者も応援コメントを頂いておきながら返信できていなかった時期があるので、やむを得ない場合はあろうかと思いますが、明らかにリアクションをする気がないのは、ちょっとどうかと思います。


 結局、そういう人たちは称賛しか求めていないんだと思いますが、読者の立場で褒め言葉が――人を小バカにしたような社交辞令やお世辞ではない心からの言葉が――自然と出てくる状態まで持っていくためには、作品とまじめに向き合う必要があります。

 まじめに読んで感想まで書き送った小説が、実はまじめに書かれていなかったと分かったとき、どうして徒労感を覚えずにいられるでしょうか。


 あまりこのエッセイにも書かないようにしてきたことですが、初対面の人に、批判的な内容が多い長文のコメントを送りつけるのって、時間も労力も精神力も結構使うんですよ。

 もちろん、筆者は基本的に、頼まれてもいない状況で好きでやっているのですが、「食べきれるか分からないけど、無料らしいから大盛りにしておこうか」くらいのノリで企画に参加して、実際に食べ残されると、舌打ちの1つもしたくなるってものです。


 そういった経緯というか懸念けねんがあって、あえて参加のハードルを上げるために、今回の自主企画では「罵倒」という言葉を使うことにしました。

 実際には、筆者が望んだのとは明らかに違う作品もいくつか参加してきて、参加拒否することになったのですが、大盛りを注文することにもリスクがあるんだとあらかじめ周知しておいたので、参加者にどんな対応をされても「概要欄も読まずに企画に参加する方が悪い」と思えて、精神的に少し楽です。




 余談ですが、筆者が自主企画「罵倒されたい作品」を立てたのと同じ日、別の方が「率直な感想を望む作家さん集まれ【※読み合い企画ではありません】」という企画を立案なさったので、そのことにも触れておきます。

 https://kakuyomu.jp/user_events/16816927863190484262

 わざわざ紹介するのは、この企画の概要欄を読んだとき、筆者の企画のいわば対抗馬のつもりなんだろうということが察せられたからです。

 こういう形で企画を批判されようが、この人の企画の方が人を多く集めていようが、筆者としては別にどうでもいいのですが、気に喰わないのは次の文言です。


――――

でも、ルールはいくつか設定します


1つ目は、言い回しとかについてならいいのですが

段落字下げをしていないことや句点を使っていないなど

小説の常識とかそういう書き方についての意見はなるべく避けましょう

何か意図があるのかもしれませんし 書き方は自由だと思います


ただ、さすがに読点が 少なすぎたり 多すぎたりして 読みにくいという場合などは指摘してあげましょう


他にも「常識」を押し付けることはやめましょう

――――


 筆者の企画「罵倒されたい作品」の概要欄に追記したことでもありますが、小説の基本的な様式は、守らないと損しかありません。

 この企画者にしても、「段落字下げ」をせず「句点を使っていない」というブログのような書き方をしていますが、小説でそんなことをして、読みにくくなることはあっても、読みやすくなることはありません。

 ことあるごとに様式の不備に目が行ってしまったら、誤字脱字が多い文章と同じで、物語の内容やテーマに集中することがさまたげられてしまいます。


 第一、そういうルールや様式があると知らないならまだしも、知った上でそこに合わせるのを面倒くさがる人の小説なんて、面白いと思えますかという話です。

 たしかに面白い可能性も完全に否定することはできませんが、書き手さんがこだわって書いていない小説なんて面白くない可能性の方が高いわけですから、ちゃんとしたコメントを書くような読者ほど、そういう作品には深入りしないと思います。


 腹が立つのは、単に個人の怠慢たいまんで改善しないのではなく、自主企画としてそういう指摘はしないようにと呼びかけている点です。

 こういう企画が立てられると、筆者のような人間がWeb小説にコメントを送るときに考慮しないといけない面倒事がさらに増えるんですよ。

「段落の頭は1マス空けるものですよ。文の終わりには『。』を付けるものですよ」

 という指摘をしても、迷惑で野暮なコメントとして無言で消されたり、SNSでバカにされたりするかもしれない、ということだからです。


 勘弁かんべんしてほしいです。




 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

 このエッセイを読んで筆者の自主企画に興味を持たれる方がいらっしゃるか分かりませんが、一応リンクを貼っておきます。

 概要欄にも書きましたが、「ここはこういうつもりだからツッコミを入れないでほしい」という場合は、近況ノートの相談窓口に書いていただければ配慮するつもりです。


自主企画「罵倒されたい作品」:https://kakuyomu.jp/user_events/16816927863169545843




<追記:2022年05月12日>

 後日、読者の方から今回の話があまりにも思慮を欠いているのではないかとご指摘を受け、「感謝の気持ちを思い出さねば」という記事を書きました。ご不快でなければそちらも合わせてご覧ください。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054893843844/episodes/16817139554473784543

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