気分の変化をタバコでするな。

絵之旗

タバコ

あいつはタバコを気分で変える。

冷静でいたいときには青色のタバコ。

熱血したり、暑い日には赤色のタバコ。

楽しかったりする日には黄色のタバコ。

あいつはタバコを気分で変える。


そんな野郎だ。


その日のあいつのタバコは電子タバコでピンクだった。

「ピンク色のパッケージをしたタバコがこれくらいしかなかったんです」とよくわからない言い訳を聞いた。別にだからどうしたといいたいがどうやらあいつはピンク色のタバコをどうしても吸いたかったらしい。


ピンクの気分ってなんだ?

俺にはピンク=かわいいイメージしかないわけだが…。

彼女でもできたのか?


× × ×


翌日。

あいつと喫煙室でばったりあった。

あいつはタバコのパッケージがピンクから青へと変わっていた。

目も赤い。夜更かしでもしたのか?

どうしたと聞いても何でもないといっていた。こいつの口からタバコは気分で変えると聞いている以上、ピンクから青へと変わったのは何か気分的なものが変化したからだと思うほか、考えられない。


だが、大体の予想は着く。

昨日はピンクの気分で今日は青の気分。

こんなにわかりやす奴は他にはいないだろう。

「今日は一緒に居酒屋に行こうぜ。」

俺の言葉にあいつは一言情けない声で「せんぱーい」と言うのだった。




おおよそ、彼女にでもフラれたのだろう。

目も大泣きした証に違いない。

タバコのパッケージも青色ということで

泣きたい気分とかブルーな気分とかそういうことなのだろう。


俺としちゃあ年齢=彼女なしなわけだから俺こそ泣きたい気分だよ。

俺も明日から青色のタバコにしようかな。

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