2020年のロボット達へ

影神

人生感


あなたは自分の生に何を求める。


金か?権利か?地位か?異性か?


はたまた力や命か?名声、か?




あなたは何が欲しい。


何の為に生きている。




人間が生きているのには必ず理由がある。


誰かを救ったり、誰かを支えたり、誰かを守ったり。


誰かを敬ったり、誰かを愛したり。




それとも自分の為だけに生きるか?




人間は生きていると必ず誰かと交わる。


いい意味でも、悪い意味でも。






機械はいろいろな部品で成り立っている。


何かひとつでも欠けると壊れてしまう。




人間を何かのギアだとしよう。


地球を大きな機械だとしたら、私達は部品となる。


私は誰かのそばにいて、私は誰かを回し、


私は誰かとぶつかり合い、そして誰かを回す。


もし、私が壊れてしまったら、


代わりの部品が彼等を回すだろう。


代用はきく。形や大きさ、加工すればそれになる。


そして何事も無かったかのように、また動き出す。




それと同様、人間をひとつの機械だとしたら、


脳はシステムで、心臓は電気で、


血液はオイルで、身体がギアだろう。


人間も何かが欠けると動かなくなる。


パーツはうまくすれば代用が効くが、


それぞれの機械によって様々だからほぼないに等しい。


機械で言えば、特注品だ。




だが、話を戻すが私達はそもそも機械ではない。




考え、感じ、敬い、愛し、傷つける。


そして憎み、争い、殺し合う。




私の言う、『人間』というものは既に滅びてしまった。


いや、そもそも私の思う人間は


『人間』ではないものかもしれない。






また話が脱線してしまうが、質問しよう。






あるところに貧しい子供がいる。


母親は大きな病におかされてしまった。


子供はとてもお腹が空いていた。


けれども、食べ物を買うお金がない。


子供はずっとまともな食事をしていない。


近くのパン屋さんからはいつもいい匂いがする。


子供は自分の空腹の為にお店のパンを盗んだ。


パンはとても美味しく子供は空腹が満たされた。


お店にはバレていない。


子供は母親の為にもうひとつパンを盗んだ。


だが、子供は店の人にバレてしまった。


店員「盗みをするとは悪い奴だ」


店員は子供に暴行を加える。


子供は言う「お母さんが病気だから


栄養のあるものをあげたかった。


ごめんなさい、ごめんなさい。」


子供は泣きながら謝る。


通行人は何も見ていないかのようにただそこを通りすぎる。




さて?悪いのは誰だ。




ちゃんと食べ物をあげられなかった病気の母親か?


自分の空腹を満たし、母親の為にも盗んだ子供か?


それか、盗みをした子供を暴行する店員か?


それとも見てみぬ振りをした通行人だろうか?




どれをどうとらえて悪いと過程するか。


答えは今自分の思った事がきっと正解なのだ。


何が悪くて、何が正しいか、それは自分の心の中にある。


けれど、それは自分の生きてきた時間や、経験により異なる。




今あなたがちゃんと考えてくれたかはわからないが


この質問に初めから正しい答えはない。


存在しないのだ。




しいていうならば、この物語を作った私が悪い。




では、物語を変えよう。




あるところに貧しい子供がいる。


母親は大きな病におかされてしまった。


子供はとてもお腹が空いていた。


けれども、食べ物を買うお金がない。


子供はずっとまともな食事をしていない。


近くのパン屋さんからはいつもいい匂いがする。


子供はパン屋さんへと向かう。


子供「僕はあなたの売っているパンが欲しい。


だけれど、僕にはお金がありません。


家には病気のお母さんがいて、


まともな食事を食べていない。


だから、ひとつでもいいから分けて欲しい。」


店員「それは、可哀想に、お母さんは大丈夫かい?


だったら好きなだけ持っていくといい。


明日から君の為にパンを焼いてあげよう。


遠慮しないで、ちゃんと貰いにおいで?」


子供は泣きながら言う。


「ありがとう、ありがとうございます。」


店員は優しく子供を抱き寄せる。


それを見て通行人はお店にお金を払う。


そして子供に話しかける。


通行人「僕は医者だから何か出来ることがあるかもしれない


良かったら、君のお母さんに会わせてもらいたい。」


子供「僕にはお金がありません。」


医者「大丈夫。お金はとらないよ。」


子供は嬉しそうに、顔を拭う。




さて?正しいことをしたのは誰だ??




自分の空腹を我慢してまで、母親の為に願った子供か?


それとも無償で母親の為にパンをあげた店員か?


はたまた自分が買ってもないパンの代金を払い、


病気の母親の為に無償で治療しようとする医者か?




ここでは物語を変えてあげた私とは言わないでおこう。




ここまでで、私が何を言いたかったか。


そして私は今、何を伝えたいか。


それは受けとる側によっても異なるだろうし、


私の文章能力が未熟過ぎて、理解がし難いかもしれない。




自分にとっての正義は他人にとっての悪となり、


他人にとっての悪は他人にとって正義となる。




今の人間でこれが分かる者がどれ程いるだろう?


物語や、話、他人を理解できる人間がどれ程いるだろうか?


私のいう『人間』は絶滅してしまった。






この世の中では、金がないといけない。


金があるから、余裕があるから、


他人を助けられたり、思いやられたりする事ができる。


しかしそれらは、金がなくても可能なことはある。


パン屋は金があったから子供にパンを無償であげたのだろうか?


金があって、余裕があったのは医者の方だ。


パン屋は善意で、良心で、パンを子供にあげたのだ。




私達は機械ではないのだ。


考え、おもいやり、他人を尊重することができる。


決まったこと以外をすることができるのだ。


本当の意味での『人間』。


人間という定義がそれまた他人によって異なるが、


あなたは果たして人間なのか?






冒頭に話を戻す。


あなたは自分の生に何を求める。


金か?権利か?地位か?異性か?


はたまた力や命か?名声、か?




あなたは何が欲しくて、何の為に生きている。




人間が生きているのには必ず理由があり、


誰かを救ったり、誰かを支えたり、誰かを守ったり。


誰かを敬ったり、誰かを愛したりすることができる。




人間は生きていると必ず誰かと交わらなくてはいけない。


いい意味でも、悪い意味でも。白にでも黒にもなる。




私達はロボットになってはいけない。


決まった事を決まったようにこなすな。


正解はないし、間違いもない。


自分の理念を他人に押し付けてはならない。


自分は自分で、他人は他人。


相手の考えていることも正しく、自分の考えも正しい。


だから簡単に人を殺めるな。人を見下し、貶すな。


誰かが手を差しのべたら手をとれる『人間』になれ。


価値観や時間に洗脳されてはならい。


世界は広い。もっと広く柔軟に。


そして、プログラミングされてはいけない。




最後になるが、金持ちだからといって


自分の本当の成すべき事が分かる訳ではない。


勿論、金があれば何でも経験することができる。


だから金がない奴よりはやれることが多い。


でも、金のない奴には金がないからこそ経験できることがある。


金持ちにはそれは経験することができない。


金は全てだが、金が全てではない。




幸せは生きていることにある。




言い訳はいくらでもできる。


本当に自分のやりたいように、やりたいことやれ。


但し、好意に人を傷つけたり、殺めたりしてはいけない。


それはマシーンだ。


私達は『人間』であり続けなければならない。


いつまでも遣われる人間であり続けるな。


自分を使える人間になれ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

2020年のロボット達へ 影神 @kagegami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る