偽教授銃口杯 結果発表
はいでは今回もまず寸評からいきますよ。敬称略ですよ。
ファイアアーム・マフラー/偽教授
https://kakuyomu.jp/works/16817330651325910831
基本的に偽教授杯では自作参加はあんまりしないし、今回も別にするつもりなどなかったんですけど、突然締切直前に興が乗って(あと、別サイトの某企画と二重投稿という形で)書いてみました。しょーもないけど、自分ではちょっと面白いと思う。
安全装置は働かない/紫陽_凛
https://kakuyomu.jp/works/16817330650448885398
紫陽さんは前々回・前回のグランプリ受賞者で、何しろ未曾有の三連覇がかかっているので最初に読みました(主催者自作は数に数えません)。別の名義使ってた頃に別の企画に出してもらった作品(詳しくはこちら↓)
https://note.com/tantankyukyu/n/n970bdb533098#1a51718c-a1f9-4d20-a335-6d21cf648b6f
の続編というか後日談で、賞を取るみたいなことには最初から向いていないやつでしたが、元の作品そのものが面白いので興味深く読みました。アンナさん……。
ピチカートの歌声/尾八原ジュージ
https://kakuyomu.jp/works/16817330650211591866
当たり前のようにクオリティの高い掌編ですが、ジュージさんのことですからもうそれは当たり前だと思うことにしましょう。リアリティラインが高い割になんとなく幻想文学の趣があるのは、登場人物の狂気の故だろうか。特に女の方。
あの日の事/モリアミ
https://kakuyomu.jp/works/16817330650995712075
1800文字強の尺を六分割して六人の語り手を登場させる、凝った形式のショートショート。起きた出来事そのものは「悪い意味での銃社会アメリカの日常」みたいなアレですが、構成が面白かったです。
この引き金を引いたなら/黒白ノ巫女
https://kakuyomu.jp/works/16817330650748242518
うーん。オチが読解できない。謎かけ?それとも、単に敵対者に二発ブチ込んだというだけ?
刑事、最後の仕事/オスミオ
https://kakuyomu.jp/works/16817330650574238173
素直に面白い作品だった。よくできてる。これがルール上の制約を満たしているかどうかの問題ですが、「銃的なものならなんでもいいです。」と書いたのは私なので、アリとしましょう。殺傷能力がある銃にしろ、とか、人が死ぬ話にしろ、とかいうルールは書いてないので。
トリガー/野村ロマネス子
https://kakuyomu.jp/works/16817330650658359317
なかなか胸をつく、抒情感のある掌編でした。銃、という存在がマクガフィンになってないのがいいですね。撃てば弾は出るのだ。
CtrlAltDel/モリアミ
https://kakuyomu.jp/works/16817330650916466097
モリアミさんの二作目。これも構成に妙味がある作品ですね。3000文字をわざわざ三つに分けることでしかできない作劇になっている。
チェーホフと弾のない銃/三寿木 春
https://kakuyomu.jp/works/16817330650286025573
なかなか面白いんだけど、流石にこれはレギュレーション上セーフなのかどうかかなり悩んだ。まあ……別に企画からキックしたりはしませんが。シュールでトンチキな世界から繰り出される、文字通り予想を斜め上に越えたオチ。作者様の辣腕を感じます。
全米ライフル協会 魔弾部 退魔第一課/はむらび
https://kakuyomu.jp/works/16817330650200634184
かなり素人臭さが強いんだけど、逆にそこがいい味になっていて、笑かしてもらいました。優れた小説ではないと思いますが、力強い創作ぢからのある何かでした。
緋ながるる/田辺すみ
https://kakuyomu.jp/works/16817330651311070987
オスマン帝国の宰相が戦場で銃撃されて死亡した実話を元ネタにしているのかな。渋好みな雰囲気の歴史小説でありました。
想定外な潜入/夢月七海
https://kakuyomu.jp/works/16817330651305816017
実にハードボイルドだった。よく書けているし、面白かったです。「映画のセリフだけで喋る殺し屋」が好き。味がありますね。
萌えよ恋!!/染谷市太郎
https://kakuyomu.jp/works/16817330650418953398
んー。パーティクル・ガンを銃だと言って作品に持ち込む発想は「おっ」と思いましたが、正直そのワンアイデア以外に光るところはあまりない作品だな、と思いました。コメディと熱血は似て非なるものなので、うかつに混ぜない方がいいです。
スコーピオンに左手を添えて/月見 夕
https://kakuyomu.jp/works/16817330650345683234
サバイバルゲームを題材にした小説ですね。文体はいかにも小説然とした小説。正直、もうちょっと物語としてのフックを作らないと、単なるサバゲーの体験記的なもの以上の何かにはならないかと思います。
銃と踊り子/朝吹
https://kakuyomu.jp/works/16817330649999885356
題材の選び方と文体に何か通底するものが感じられ、それがうまくはまってはいるけど、作品としての爆発力には十分繋がってはいないかなと感じました。なんか外国語映画みたいな雰囲気が、良くも悪くもあります。
銀の楔/ぎざぎざ
https://kakuyomu.jp/works/16817330650224622625
良い小説でした。「チェーホフの銃」をやる、つまり「最初に銃が出てくることが伏線として機能」し、そのことが物語の先行きへの期待感に影響を与える、という点において、随一だったと思います。
砂漠のスクリーンヒーロー/ミナトマチ
https://kakuyomu.jp/works/16817330650708213120
うーん。色々難点が多くて、読みにくいです。小説の基本作法、みたいなところをもう少し押さえていくことをお勧めします。
狙撃のシンギュラリティ/柴田 恭太朗https://kakuyomu.jp/works/16817330651103819058
いわゆる古典的なSFショートショートですね。「チェーホフの銃」としてのフックもしっかり利いており、これは佳作と言うに値するでしょう。
はい、では偽教授銃口杯、講評は以上です。結果発表に参ります。
はえあるグランプリは!
どぅるるるるる(自前ドラムロール)
でーん
ぎざぎざさんの『銀の楔』に決定です!
https://kakuyomu.jp/works/16817330650224622625
物語構造の中で銃という伏線がうまく役割を果たす、という観点から見てこれが一番優れた作品でした。というわけで、グランプリです。
今回は各賞はありません。今やっている「偽教授番狂杯」もよろしくお願いします。というわけで、以上となります。ではでは。
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