君猫

浦和 りえ

君猫

 2Pでやっていたゲームが一段落したころ、横にいた彼が抱き着いてきた。

「どうしたの?」と聞くと、「別に。」なんて言いながら、さらにギュッとしてくる。


 普段は強がりのくせに、二人きりの時だけこんなふうに甘えてきたりする。


 …なんか、猫みたい。

 うん、大きい黒猫。警戒心強いのに、飼い主には甘えん坊の。


「ねぇ、猫耳つけてみてよ。」

「…は?」

「もしくはニャーって言ってみて。」

「絶対イヤだ。」


 意味がわからないというように目を細める姿も、なんだか可愛く見えてしまう。


 これからも私だけに懐く猫でいてください、と意味を込めながら彼の頭をなでた。

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君猫 浦和 りえ @enlico

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