第3話 そして3人は

 林はびっくりしたように目を見張っていた。

「終わりですって、……どうしたんですか、その鈴」

「俺が2〜3個持って帰ったかな。ほかは知らない」

 藤崎が特に気にしない風情で、な?と新也の肩を抱く。

 新也はされるまま、ぐらぐらと揺さぶられてから、ぐいっと酒を煽った。

「持って帰ったんですか!?」

 驚く林をよそに、藤崎はケロッとしている。

「持って帰ったな。探せばまだ家にあるんじゃないかな。思うに、あのすずしろ様は、霊じゃないんだと思うんだよ。俺に見えたんだから」

「霊じゃないなら、何なんですか……?」

 林が自身も酒を口にしながら訊ねる。

「さあ……けど、何らかの物理?実体?だから、新也は一緒に遊ばなくて正解だぞ」

 な、とまた新也の肩を叩く。新也は恨めしそうに藤先を睨む。

「な、じゃないですよ。一緒に遊ばなくても、めちゃくちゃ怖かったんですからね、あれ」

「けど、あれで、俺はお前の体質を信じたぞ、一発で。ああいうものに縁がない俺にも、見えた。それが一番の証明だ」

 へえ、と林は感心した様子で2人を見比べた。

「そんなことがあったんですね。全然気づかなかった……」

「ガチ、だったからじゃないか。女子会員……中村さんと、山野さんだったかな、もあれから全然口にしなかったし。怪談もの企画も流れたしな」

 藤崎は新也から手を離すとところで……と林へ杯を向けた。

「林こそどうなんだ。いつ、新也のことを知った?」

「え、僕ですか?……僕はですねぇ」

 酒の肴にされながら、新也ははあっとため息をついた。

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現代百物語 第6話 すずしろ様 河野章 @konoakira

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