「辻立ちに行ってきます」
そして迎えた選挙は惜敗。はじめての国政挑戦は失敗に終わった上澤だが、現職の国会議員から既卒・ニート・フリーターなどの就職支援に関する勉強会への参加を勧められる。それと同時にベーシックインカム党は政治活動だけでなく、渋木とケイケイを中心に、既卒・ニート・フリーターの生活・就職支援活動を展開することになった。新たな門出となるベーシックインカム党の新事務所開きの日。上澤、渋木、党のメンバーたちが集まる中に、一人の見知らぬ青年が現れた。彼は10年近く自宅から一歩も出たことがないニートだった。ネットで選挙運動を繰り広げる上澤たちの活動を追ううちに、自分も何かしたい。社会を変えていきたい。そう思ったと、少し恥らいながら静かに呟いた。社会はそうそう簡単に大きく変わるものじゃない。それでも、自分たちの政党結成や国政挑戦によって、一歩踏み出すことができた人がいた。その青年の訪問に勇気づけられた党のメンバーを背に、上澤は「辻立ちに行ってきます」と楽しげにいつもの交差点へと演説に向った。
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【 初出 】
2015年 電子書籍
『 ベーシックインカム・パーティ 』
https://puboo.jp/book/97326
ベーシックインカム・パーティ komasen333 @komasen333
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