「まともな職務経験もないのにベーシックインカムを提唱するのは虫の良い話だ」
翌日から、促されるまま上澤は、北山大学前の交差点で顔を売り込むための辻立ちに出た。党の理念や主張をわかりやすく渋木が演説草稿にまとめ、ケイケイが議員秘書経験を活かした演説指導をし、上澤が登下校する学生たちに向けて演説する日々がはじまった。オフ会に参加したメンバーを中心に、演説の聞き手となる桜を動員。演説の様子を動画サイトにアップしたり、ネット上での情報発信を積極的に展開。わけもわからぬまま辻立ちをくり返していた上澤だったが、周囲の熱気に感化されていき、演説もどんどん上達していった。
選挙告示が近づき、上澤は立候補者による公開討論会に参加することになった。そこで政権与党である民自党のライバル候補から、「まともな職務経験もないのにベーシックインカムを提唱するのは虫の良い話だ」と糾弾される。それに対して上澤は、既卒ニートの自分がベーシックインカムを提唱するのはおこがましいのではないかという迷いがあったことを吐露。しかし、サークル・党の結成や立候補準備を通じ、多くの既卒・ニート・フリーター仲間との絆が生まれ、迷いがなくなったことを強調。ベーシックインカムの実現は、生活・経済基盤の安定化のためであり、そこから雇用環境の改善、働きがいのある仕事の創出などが欠かせないという想いを強くもつようになったと訴えた。
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