「体たらくニートと大学生が、怠けきった団体をやっている」

募集告知は皮肉な形でネット上を賑わせた。「体たらくニートと大学生が、怠けきった団体をやっている」という非難が飛び交うように。募集告知するブログが炎上する中で、怒った上澤は思いつくままベーシックインカム実現への道のりを書き殴る。それをさらに渋木が論理的にまとめ上げ、会の理念や募集告知の内容に厚みをもたせた。すると、徐々に好意的な反応や理解を示す声が出始め、ブログの炎上も収束し、会のメンバーも急速に増加。はじめてオフ会を開いてみると、想像以上に熱い志を持ったニートやフリーターが集まった。オフ会が終盤に差し掛かった時、ケイケイと名乗る30代前半の男性が「ベーシックインカムを実現するために、この会を政党にしましょうよ」と突然提案。静まる周囲を気にせず、ケイケイは数年間有名議員の秘書を勤めていたことなどを語り始めた。呆気にとられていたオフ会メンバーたちも、ケイケイの説得力溢れる国政展開話に唆され、「もしかしたら本当に実現できるかも」「俺たちの代表を国会に送り込めるかも」と本気で期待を膨らませ始める。それを「待て待て」とたしなめようとする上澤を制し、「次の総選挙で上澤さんを国会に送り出しましょう」と渋木が笑いながら提案。唖然とする上澤を尻目に、満場一致の拍手で、「ベーシックインカム党」の結成、その第一号議員として上澤を擁立することが決定した。

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