ベーシックインカム・パーティ

komasen333

「これだ!これを実現するしかない!」

都内の私立北山大学4年の上澤信明は、就職活動で1社からも内定を得ることができずに大学を卒業。しばらくは塾講師のアルバイトで食いつなぎながら就職活動をすればいいと思っていたが、次第にそのアルバイトもめんどくさくなり、卒業して3カ月ほどしてニートに。実家の両親からの仕送りも止まり、預貯金も残り僅かとなったある日。いつものようにネットカフェのPCで巨大掲示板を眺めていたら「ベーシックインカム」という用語に出会う。国民に最低限の所得保障をするために定期的に一定額を支給するというベーシックインカム。その理念を知った上澤は、「これだ!これを実現するしかない!」と発奮。すぐに図書館で関連書籍を借りてきたり、母校の北山大学を訪れてそれまで全く面識のなかった政治経済学者の住岡をアポなし訪問、ベーシックインカムについて教えを請う。訝る住岡教授だったが、上澤の熱意に押されて、週一でベーシックインカムに関する個別レクチャーをすることを約束する。通りすがりにその話を聞いた住岡ゼミ3年の渋木美帆は、自分もそのレクチャーを受けたいと頼み込み参加することになった。レクチャーを受ければ受けるほど、ベーシックインカムの実現は夢のまた夢だと思い始める上澤。それに対して、興味本位で話を聞きに来ているだけのはずだった渋木は、ベーシックインカムの実現可能性を卒論のテーマにすることを決意。その参考資料を集めるべく、渋木は上澤に発破をかけて「ベーシックインカム実現検討会」を立ち上げることを提案。戸惑う上澤を強引に会の代表に据えて、早速ネット上で学内外を問わずメンバー募集を始めた。

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