やっと出た外って感じ

ここ以外に部屋が無いなら外にいこう。

道は教えてくれるよね。

『もちろんです。』


あ、それと一つ疑問なんだけど。

「神さまの用意した部屋のはずなのになんであの黒いのがあったわけ?」

『それは申し訳ありません。多分堕天使でしょう、いや、絶対そうだ!』

なんか恨みでもあんのか?

断言してるけど。

『あのクズどもはいっつもちょっかいかけてきて!しかも平気で人の魂を弄ぶし、その上調停者の座を狙ってるんだから、それはもうウザいのなんのって……』

一気にきたね。今の喋り方が一番いいけど。けど、天使もいるのかこの世界。

『は、はい。いますよ〜』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


そういや、制服のままなんだけど。

もともと嫌いじゃないからいいんだけどさ。


ナビに従って歩くこと数分、床に魔法陣(?)のある部屋に来た。

『ここはダンジョンのボス部屋の奥。これは転移魔法陣だね。』

乗ってくれと急かされるので乗る。


すると地上に出ていた。

ここは森かな。山の麓にダンジョンの入り口があった。

周りを見る限り、スーツ着てる人はいないな。

『当たり前、そもそもここにスーツとか制服とかないよ。』

なるほど。どうりでみんな驚いてるわけだ。

見知らぬ服を着た見知らぬ男がいきなり現われるなんてそりゃ誰だって驚くわ。

「おい、いきなり出てきたってことはクリアしたってことか?」

「でも消滅してないよ?」

「コア抜かなきゃ大丈夫じゃなかった?」

ヒソヒソ……

これ、ずっと嫌いだったやつ。

『抑えてよ?あなたが殴ったらそこらの人なんて一発K.Oだから。』


感情が昂ぶると自然と魔力を纏ってしまうらしい。危ういな、俺。

『制御ぐらいやったら?神さま恩恵できっとすぐ身につくよ?』

そうさせてもらおうかな。

とりあえず近くにいた人に聞いてみよう。

「ここら辺で一番近い街ってどこですか?」

「あ、あぁ、ちょっといったところに街道があって、そこに沿っていけば街だ。ちょうど街と街の中間くらいに出るからどっちも同じくらいだ。」

「オススメは?」

「そりゃ、港街だろ。飯がうまいし、討伐依頼もわんさかだ。街道出て右に行ったら着くぜ。」

「ありがとう。」

いくつも疑問が出たが、ここで言うとややこしくなりそうだ。きっと教えてくれる。

「あ、あの、サインくれないか?」

「サイン?」

「あぁ、転移魔法陣で出てきたってことは難攻不落の3大迷宮の1つをクリアしたってことだろ?どこの国かの特級冒険者だよな。」

(どうしろって言うんだよ!?)

『はぁ、前世の名前じゃすぐバレるね。じゃあ名前私がつけてあげる。何がいいかなぁ?』


『あ、あなたに似てる私の同僚だった子の名前にしよう。かっこよかったし強かったなぁ。よし。』

『調停者の私が命名します。貴方の名は【ストラオス】』

おいちょっと待て、本で読んだそのまんま神さまの名前かよ。同僚とか言ってたからまさかとは思ったが、本当に神さまの名前つけてくるとは……

(しょうがない、あだ名でストラとでもしておこう。)

『あ、ごめん、急いでるもんだからつい…』

なんかしょんぼりしてる気がする。

フォローはしとかなきゃ、なんか罪悪感すごいから…

(この名前気に入ったよ。ありがとう。)

『ほんと?えへへ、嬉しいなぁ♡』

「俺がいつも使っている名前でいいか?」

「あぁ、よろしく!」

と言って差し出されたのが短剣だった。え、何、喧嘩売ってんの?

『これは短剣にサインしてってことだよっ!?』

(えっ?)

「あ、すまないな、知ってるとは思うが紙は高くて俺じゃ手が出ないんだ。」

そんな大変な世界なのか。

でも短剣にどうやって名前書こう?

『魔法で刻めばいいじゃない。』

「貸してくれ。」

頭で書きたいものを浮かべると右手が光って、いつのまにか短剣に名前が彫られていた。

「繊細な魔法制御の上に詠唱無しかよ。さすがだな!」

一応ノルマは終わったから早くここから逃げよう。

他の人からも言われるかもしれないから。

「じゃあな。」

「おう、ありがとう!」


逃げるように街道に向けて走った。







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常識は自身の尺度で決まる けんぽけ @kenpoke

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