第1話 蜂は恐ろしい。

「......。」


あの後、クレアは特に詳しい説明も無く、クレア達が住む天界から地上におろされた。

生活する家、衣食の為のお金、その勇者となる少年を身近で守れるように同じ学校への入学、といった必要なことは、ザウスの力でサポートされた。


ご都合主義である。


「でも、この見た目じゃ、日本では目立っちゃうよね...。」


と、鏡を見ながらクレアは呟いた。

腰まで届きそうな長い金色の髪に青い瞳、どう見たって日本人には見えない。


「それはそうと、そろそろ学校に向かわないと...って、学校って何処にあるんだっけ...。」


時計を見ると、朝の7時をさしている。


『.....娘よ....聞こえているか、我が娘よ。』


「...!はい、お父様。」


ザウスは天界からテレパシーでクレアに話しかけた。


『分かっている、分かっている。学校の場所を知りたいのだろ?』


「はい、学校の場所もですが、学校の名前すら聞いてませんので...。」


『よかろう、名は《高度育成高レベル呪術学校》略して【高高校!】そして、場所は知らん。』


「コウコウコウ!?そして知らん!?

 ...本気で言っているのでしょうか...。」


『コウコウコウに不服か?個人的には良い名だと思うのだが...。

場所に関しては本気を出せば調べられんことはないが、今から3分52秒後に家の前をかの少年が通る。そのタイミングで家を出、少年と登校すればよかろう。交流も兼ねてな。ところで、コウコウコウはやはり...』


「はいはい分かりました!着替えとか支度があるのでテレパシーは切りますね!」


やはり、歳を取るとネーミングセンス等の感覚が変になってしまうのか、と呆れながらクレアは支度を始めた。


「...とっ!急いで支度したけど時間ギリギリになっちゃった!...よし!行ってきまーす!」


予言の時間が近づいて、クレアは急いで家の外に出た。

そして、家の前にその少年はいた。

同じ学校の紋章が付いている制服を着ていたので、クレアはこの子だ!と確信し、声を掛けた。


「あ、あの《こ、高度育成高レベル呪術学校》の生徒さんです...よね?」


すると、少年はクレアの方を振り向いた。


「ンフ?イカニモ、ワタシはコウコウコウのセイトにナリマース!ウルワシイアナタのヨウナジョセイが、ワタクシ、マイケルにナンのゴヨウデー?」


マイケルはニコリとスマイルを送った。


「(絶対ちがーーーーーーう!!!!)」


マイケルである。


「オーウ?ナニかオドロカセテシマッタヨウデスネ。デシタラ、オワビにマイケルジョークを...」


その時


通行人「蜂だーーー!!!」


「は、蜂!?」


クレアは通行人の叫び声に慌てて目を向けた。蜂といえば、予言で言っていた危機であるからだ。

すると、その先に蜂にたかられている少年がいた。


「ふんふふん♪今日は素敵な入学式!天気も良いし、何か良いことがありそうだな〜!」


少年はルンルン気分で蜂に気付いてすらいなかった。


通行人「やっやべぇ!あの蜂はオオスズメバチじゃねぇか!日本にいる種の中では最大級にして最強の猛毒を持つ危険な蜂だ!さらに、あの少年が過去に2度刺された所を俺は偶然見たことがある!!

もし、3度目を刺されようものならアナフィラキシーショックで命が危ないぞ!!!」


蜂が威嚇を始めた。


「そんな長い文喋ってる暇があるなら助けてあげてよ!!」


クレアは慌てて少年にカバンを振り上げて駆け寄った。


「その子からぁ...離れて!」


カバンを蜂にぶつけて、蜂の撃退には成功したが、

カバンの重みに釣られ...コケタ。


「あいたたた...。取り敢えず、危険は去ったかな...。」


盛大に転んだものの、蜂の予言を避けられたことに安堵した。

すると


「あのー、大丈夫ですか?」


























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過保護の勇者が世界を救う! @myU0083

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