10話 踊るデューカとシャンデリア
『青の都・サマルカンド』
鉱物資源企業団公社ビル・飛天の間で、デューカはタップダンスを踊っていた。
「ほう・・・これほど滑らか、かつ弾力のある機体が在ったとは、金と権力さえあれば、こんな物まで手に入るのか」
そして、満悦した。
「そうだろう、そうだろう」
コーリーは、大袈裟に賛同した。
「気に入ってくれて嬉しいよ。それで、ソフィーを我々の味方に率いる約束は守ってくれるんだろうね」
「あんたの口から約束と言う言葉が出るのは心外だが、この反乱の黒幕が鉱物資源企業団のボスと知った以上、約束を反故にすればただじゃすまない事ぐらい俺にだって解る。まあ、情報を持って評議会に寝返る手も無いではないが・・・・」
コーリーは「ご自由に♪」とでも言いたげに微笑した。そして、
「評議会がお前の様な者を、どれだけの費用を掛けて守ると思う?
自分の値打ちを理解すれば、何か得で何が損かくらい、解るだろ」
「解ってるよ、自分の値打ちぐらい」
とデューカは苦笑いを含めながら言った。「解ってる・・・何千年働いたって、こんな機体を手に入れることが出来なかったアンドロイドだって事ぐらい解ってる」と心の奥で呟いた。
そして、飛天の間の天井からぶら下がっている、光り輝くシャンデリアを眺めた。
遠い昔、人類がデザインしたその華やかなシャンデリアは、人類文明の華やかさを今に伝えていた。
その華やかさの裏にある脆さが、人類文明その物を表しているように、思われた。そして、「アンドロイド文明も同じか」と。
デューカは再び、弾力のある自分の体の感触を確かめると、
「俺にも這い上がるチャンスが巡って来た」
と呟いた。
銀色の髪のアンドロイドが、
「ソフィーの居場所の地図とメモだ」
とデューカに渡した。
デューカは地図とメモを奪い取るように受け取って、確認した。かなり雑なメモだが、何とかなるだろう。
「お前らは、何も手を出すなよ、この件は全て俺に任せろ」
「約束は守る」
コーリーは、薄っぺらな表情を浮かべた。
これほどの薄っぺらな表情がある事に、デューカは驚いた。
こいつどんな生き方をしたら、これほど薄っぺらになれるんだ?
アンドロイドだから好きなように顔は作れる。
それを含めても、薄っぺらい。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!
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