3章 ラッキーボーイのデューカくん

1話 今宵の弾幕は良く弾く

「アイン?・・・・サムエルがどうしたって?」


「ソフィー・・・・サムエルが塹壕を出て、その隙を突いて装甲騎兵が襲撃。

もう、南側塹壕は持ちこたえそうにない・・・・」


雑音の後、無線は途切れた。


ソフィーは司令部の塹壕にいるアンドロイドに向かって、叫んだ


「南側塹壕が突破された!総員、南側からの襲撃に備えろ!」


「サムエルが守る南側塹壕が突破された?サムエルはどうした?」

「解らない。とにかく今は敵襲に備えろ!」


ソフィーは、西側塹壕と東側塹壕とも連絡を取った。


「ソフィー、装甲騎兵だ。南側から装甲騎兵が強襲!」

「敵襲、現在、交戦中!」


無線から叫び声が聞こえた。


「敵襲!来るぞ!」


司令部塹壕のアンドロイドが叫んだ。

南側塹壕を突破した数百機の装甲騎兵の影が、森の中を蠢いた。


司令部塹壕を守る25機のアンドロイド達は、塹壕からその影に機銃の照準を合わせた。


0、1秒にも満たない時間の静寂の後、ソフィー達がいる司令部塹壕に対する、突撃が開始された。


司令部塹壕から、装甲騎兵めがけて、一斉に銃撃が浴びせられた。


デューカは重機関銃の弾幕で応戦した。

装甲騎兵の持つ盾があっという間に砕け散って行く。


「今宵の弾幕は良く弾く」


まるで敵の放った弾丸が、デューカの弾丸に吸い寄せられるように、ぶつかりあってる様な気がした。


ぶつかりあって砕けた鋼鉄製の弾丸たちは、粉々になって地面に帰って行く。

デューカの理想とする弾幕だ。


デューカの弾幕に守られた味方のアンドロイドも応戦した。


しかし分厚い装甲に覆われた装甲騎兵は、物ともせず突撃を駆けて来た。

記憶装置が破壊されたとしても、すぐに復元できる強みだろう。


対して反乱軍は、確実に記憶のすべてが消される。

まさに抹消だ。


「儚いね」




つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。


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