2話 めっちゃ善良なアンドロイドはわたくしで~す♪
「反乱軍首領ソフィーの記憶回路は、無傷で手に入れろ!」
深い森の中に敵の指揮官の声が響いた。
「私の記憶回路を!?」
ソフィーは、弾丸が飛び交う中、自分の思考回路内にある恥ずかしい記憶の数々を思い出した。
「いやダメ!それは!私の記憶は、絶対に渡せない」
「その件は俺に任せな!」
爆音が響く中、デューカの声が聞こえた。
>相棒!愛してるよ!
ソフィーは装甲騎兵が塹壕の間近に近づいた時、塹壕前に埋められた爆破装置を一気に爆破させた。
塹壕に取付こうとした、装甲騎兵のかなりの機体が粉々に吹き飛んだ。
「ひゃっほ!」
司令部塹壕に籠もるアンドロイドたちに歓声が上がった。
爆破で混乱に陥った装甲騎兵に、デューカ達は機銃掃射を浴びせ、沈黙させた。
塹壕の前には砕け散った機械の破片が転がっていた。
目の前の当面の敵を沈黙させたアンドロイドたちは、ほっと安堵の表情でお互いを見合った。
デューカは、ソフィーと視線を交わした。
ふと空を見上げると、摩天楼の様な樹木の遥か上空を灰色の航空機が飛んでいた。
そこから、ピカピカに光る物が司令塹壕に直線的に落ちてくるのを、デューカは見た。
「マジ?!装甲騎兵諸共かよ!」
「誘導弾だ!伏せろ!」
ソフィーの絶叫後、装甲騎兵諸共、司令部塹壕は崩壊した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「空軍め!勝手なことを!
反乱分子の首謀者を消してしまっては、奴らの全貌が掴めんではないか!」
カーン少佐は、司令部塹壕で起こった爆撃の煙を、見ながら怒鳴った。
「一体誰の命令・・・・・」
・・・・もし、議長の命令なら、これ以上の発言は控えた方が良いだろう。
政治将校に聴かれでもしたら、消去されかねない。
カーンは、何気に周囲を見渡した。
政治将校の姿は見えなかった。
カーンは安堵した。
敵は前にだけいる訳ではない。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
デューカは暗闇の中、光が降り注ぐ光景を、見つめていた。
「死後の世界?・・・機械にも死後の世界があったのか?」
と思いながら、その光の輝きを眺めていると、光の中で何かが動いた。
「天使?俺、天国に行けるの?
善良かと言うと、微妙な生き方をしてきたけど・・・
でも、そう言う事なら絶賛歓迎!!!
イエーイ天使さま~
めっちゃ善良なアンドロイドはわたくしで~す♪
天使さま~、わたくしデューカは、ひたすら善行を心掛けて生きて参りました。
天使さまに、お会いできて光栄です」
しかし、暗闇の中に銃声が響き渡った。
「違う!敵か!俺は生きていたって訳か・・」
素早く身を翻そうとしたが、身体のあまりのぎこちなさに、デューカは慌てた。
必死でどうにか側にあった柱らしきものに身を隠した。
柱を見ると、乳白色をしていた。
「鍾乳洞か」
司令部塹壕の下には鍾乳洞が広がっており、司令部直撃の爆撃により、地表が崩れ落ちたらしい。
「地下の鍾乳洞を、知らずに爆撃したのか?
それとも知ってて?まあ良い・・・」
デューカは微笑み、生の実感を感じた。
そして、自らの悪運に感謝した。
さらに生きているであろう仲間たちの、悪運にも・・・
「ソフィーは?」
デューカは薄暗い鍾乳洞に目を凝らした。
薄暗い暗闇の中、地下水を跳ねながら走り回る機械の音が、複数聞こえた。
「ソフィーも生きているかも」
鍾乳洞の天井に開けられた穴から、重々しい装甲騎兵が降下してきた。
デューカは機銃を取ろうとしたが、鉄の破片が突き刺さった右手は、機銃を握ることは出来なかった。
仕方なくデューカは、鍾乳洞の奥へ逃走した。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!
【デューカ】多分、善良なアンドロイド
【ソフィー】反乱軍サインのリーダー
【カーン】対竜族戦争の英雄 陸軍少佐
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます