17話 何事も、人間らしく
森の中に隠された塹壕から、携帯用対空ミサイルが攻撃ヘリに襲い掛かった。
いくつかのヘリは、一瞬だけ、赤く光を放つと、地上に墜落した。
デューカが撃つのは、35ミリ対空機関砲。
人間サイズのアンドロイドが撃つには巨大すぎる機関砲だが、思考回路と有線で繋がれた強化アーマーを装着すると、使い慣れた拳銃のようにぶっ放す事が可能だ。
巨大な重機関銃が意のままに使いこなせる。その快感は最高だ!
もちろん完全に違法な装備だ。
軍でも、公式には使用が禁止されているはずだ。
アンドロイドが、他の機械と有線無線関わらず直接接続することは、タブーだ。
「何事も、人間らしく」
この星の教会の教義だ。
アンドロイドの身長も重量も出力も、人間サイズが求められた。
もちろん例外は多々あるし、この教義に反抗的なアンドロイドも多々いる。
しかし、そう言った決まりが在ったからこそ、この星に人間らしさが、残っているのは事実だ。
その人間らしさは、元々人間だったアンドロイド達にとって、癒しだったし、自分たちが何者だったのかを、確認するために基盤だった。
ヒューマノイドのいなくなった世界。
デューカは、強化アーマーに包まれると、そんな殺風景な情景を、想い描いた。
しかし、いつまでも未練がましい。
と思う自分もいた。
デューカはチャフやフレアで攻撃を逃れた対地攻撃ヘリに、狙いを定め、弾幕を浴びせた。誘導ミサイルは誤魔化せても、弾幕から逃れる術はない。
そんな弾幕が好きだ。
攻撃ヘリは、操縦していたアンドロイドもろ共、爆発を起こた。
デューカは、アンドロイドの記憶装置の機械が砕ける感触を感じた。
記憶装置を破壊する悔いと、敵を破壊する快感が入り混じった。
その直後、四方から、迫撃砲の弾頭が塹壕目指して降り注いだ。
「こちらイーストD点、陸軍との交戦が始まった!」
と無線から仲間のアンドロイドの叫び声が聞こえた。
ソフィーとデューカは目を合わせた。
続いて
「こちらウェストD点、現在、交戦中!」
「了解」
ソフィーは答えた。
デューカは、破壊されるかも知れないソフィーとの記憶を想った。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!
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