第14話 機体に宿る魂?☆彡

鉱物資源運搬用の大型トラックは、暗闇の中、ライトも着けずに疾走した。


コーリー博士は、不満げなアレム神父にフォローを入れた。



「アレム神父・・・完全な記憶とまでは行きませんが、彼らの記憶のバックアップは予め録ってあります。

新たな機体があればいつでも彼らは、ほぼ再生することが出来ます」


「ほぼ?」


「日常生活には支障は来しません」


「!」


「神父は本当に政府が今も、魂の記憶再生技術を保持しているとお思いですか?」


「?」


「我々の文明は退化し続けています。すでに高度化しすぎたアンチコピー技術は、誰も完全に制御している者はいません。我々と政府の技術の差は、程度の差ですよ。」


「そうだとしても・・・・魂は、機体に宿る魂は継承されていくものです。」


「機体の神聖化・・・・人類と同じような価値観で生き続けようとするなど、愚かしい事です。人の身体と違って、我々機械の、その魂とやらも所詮記憶の集合体に過ぎず、機体は、取り替え可能な消耗品に過ぎない。

そんなものに意味を見出すこと自体、教会の傲慢さの表れにしか思えません。」


「教会の傲慢だと!」


「教会は、在りもしない魂とやらに神聖な価値をつけ、その魂の守護者の様に振舞うことによって、自らの権威を確立してきた。

そして社会の進化を止めた・・・

所詮、機械は機械・・・魂など、遠い昔に消え失せている」


「神父さま、あ~んど、博士さま。今、言い争って何になるんっすか?」

銀髪は、暗闇を凝視しながら言った。


コーリーは「だな」と一言言うと

「アレム神父、もうじき彼らとの待ち合わせポイントです。」

と告げた。


「彼らとは?」


「電力施設を爆破した連中ですよ。彼らは我々と同様、アレム神父、あなたの神父としての権威を手に入れたがっています。

くれぐれも注意ください。なにぶんあいつらは過激な連中ですから。」


「彼ら・・・そしてあなた方は私をどうしようと言うのだ?」


「しんぷ~、あんたは今、事件の中心人物ですぜ。今から、おもろい事が起ころうとしてるってのは事実!」


コーリーは、にやけながら


「神父、とりあえず、この状況を楽しみましょう」


と励ました?


「ひゃひゃひゃひゃひゃ」


銀髪の機械は、笑いながらアクセルを踏んだ。


トラックは暗闇の中、ライトも点けずに、銀髪の勘だけを頼りに加速した。

それはまるで、闇に潜む狙撃手が放った弾丸のようにだった。


その狙撃手が誰なのか・・・


闇の中で神父は思考した。



つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!

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