第13話 お前の記憶は無に帰す☆彡

評議会議長室で、評議会議長は、取り外され解体されていく自らの腕を見ていた。


「特注品だが、治せそうか?」


技師は、何とも言えない表情で


「電気系統の異常とは思えません。」


「と言うと?」


「機械語レベルの異常かと思われます」


この場合の機械語は、機械が喋る言葉ではなく、プログラム言語の事だ。

AI系のプログラム言語が主流のこの世界で、もっとも古いタイプのプログラム言語を理解しているものは少ない。


機械語レベルの問題は、過去に何度もあった。しかし、その度応急処置で乗り越えてきた。


「厄介だな」


「これ以上は製造メーカーの範疇になります。

とりあえず市販品ですが、代わりの腕をお持ちしました。

お付けになられますか?」


「頼む」


議長と技師のやり取りを、内務大臣と特殊部隊隊長ハミルは、直立不動の姿勢で見つめていた。


議長は内務大臣と特殊部隊隊長ハミルを一瞥すると


「よくも上物のえさ、台無しにしてくれたな。

この落とし前どう付けてくれる?」


内務大臣と特殊部隊隊長はなんの言葉も出なかった。


「腕の装着完了しました」

「やはり安物はなじまんな。」


議長は取り付けられた腕を動かしながら言った。

そして、内務大臣と特殊部隊隊長ハミルをにらみつけた。


「お前らが市販品の安物では無い事を、証明して見せろ。

さもないとすぐにでも、お前の記憶は無に帰す。」



>無に帰す。


ハミルは、泡が弾けて無に帰する様子を思考回路の奥で夢想した。

泡は姿を消すが、その下には無限の液体が存在していた。

液体は生き物の匂いがした。

無に帰すと、5千年前に無くした人の心の世界に戻れるのか?


>それも悪くない。



つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。O(≧∇≦)O イエイ!!

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