第15話 恋い焦がれる森林と人形劇☆彡
鉱物資源運搬用のトラックは、森を突っ切る一本道を疾走した。
有機生命体の大量絶滅から5000年、大量絶滅を種子の形で生き残った植物は、大量絶滅以前の規模に戻っていた。
しかし、動物は大量絶滅を乗り越えることが出来ず、森は完全な静寂に包まれていた。
「この植物だけの森が、有機生命体の到来を恋焦がれている様に私には思えます」
アレム神父の問いに、誰も答えなかったが、神父はさらに続けた。
「この森が我々機械をどう思っているのか、考えた事在ります?」
銀髪のアンドロイドは
「感傷的な・・・さすが滅んだ人類時代を崇め奉る教会の神父様・・・」
と言った結果、アレム神父が押し黙ってしまったので、銀髪は
「皮肉を言ってるように聞こえました?
誤解です。そういうつもりは全くないです」
と弁明した。
コーリー博士は、表情を変えず口だけ動かしながら、話に加わった。
「我々機械は電力と鉱物資源さえ在れば、生き続けられる。
我々に関係の無い森の事なんか考える必要なんて無いでしょう。
我々機械に必要なのは鉱物資源と電力のみです」
まるで腹話術の人形の様にしゃべるコーリーの言葉に、アレム神父はため息を着いた。と言っても、機械なので息は出ないのだが。
腹話術の人形の様にしゃべるコーリーを見ながら、遠い昔に見た人形劇を思い出した。
そして、自分もその人形劇の一員に過ぎないのだと、自覚せざる得なかった。
「森に興味が無い?
森こそ有機生命体の故郷とも言うべき存在・・・・
それに興味が無いとは、コーリー博士、あなたは本当にあの人類に似た生命体に興味が、在るのですか?」
「在りますよ。あなたとは違う意味ですがね。
その件はまた後で話し合いましょう。
ほら、見えてきました」
コーリー博士の視線先には、巨大な煙突を持つ発電所が見えてきた。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
O(≧∇≦)O イエイ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます