欲に濡れた王と法の城

卑猥な音が腹の奥から響いている。

鈴を転がす声は今では熱を孕んだ肉の声。

国民から王子と神様と崇められる星の子は、目隠し拘束何思う。

カミサマは神聖だ。

何も触れられず、何もされてはいない。

下賤の民が触れてはならぬ、たとえそれが王という冠を被っても触れてはならぬ。

ではこの声はどこから聞こえる。


嫌だ嫌だと、甘く疼くこの声はどこから響く。

「これは、これは、上玉だ」

下品な声と涙に濡れる音。

「髪も長く麗しい」

どこかが縛り上げられる縄の擦れる音。

「流石は、上位種族」

増える欲の声と、一層甘く上がる喘ぎ声。

「モト、カミサマ」


見えずとも分かる三日月を描いた口元、この国を治める王の言葉。

粘着質な音が上がるたびに恐ろしく美しい鈴の音は一層愛らしい声を上擦らせる。

「早く次の“カミサマ”が仕上がれば良いのだが」

音だけで浅ましく熱を持つ体はどう捨てればいい。

自身と同じ立場、同じ種族であり、現在この国の王組み敷かれる前身の神様はどう助ければいい。

どうしたらこの国からこの文化から逃げられるのか。

それは視界にいない誰かが教えてくれるのだろうか。

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尾を掃く星の民と、幼い御伽噺。 文乃 雛 @atelier-yasyoku

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