星の民と人、境界線

尾があり、見目麗しく、神と崇められる。

それが星の民、それが我等。

生殖行為などは差がなく、女性が孕むのも常識である。

先人が、我らの祖が、どうしてこの星に来たかは知らないが。

現段階での人との差は外見だけである。

内面はただの人である。

我等、星の民。

ゆるやかに紡がれた我らの御伽噺は人間様の世論とはまるで違う。


我等の美しさは尾の長さである

「カミサマは尾が短いほうが縁起が良い」


我等の誇りは尾の長さ、美しさである

「尾の長い星の民は美しくはない」


長ければ長いほど高貴である

「長く尾が伸び切った醜いものは奴隷に落とすべき」


血筋よ、文化よ、我が身可愛さに墜ちることを許しておくれ。

先代のことも知っている、伝えられた尾の話も耳が痛いほど聞いた。

だが、美しくなればなるほど奴隷に近づくのだ。

どうかどうか。

もう少しだけ。

彼らの蜜を受け、血を押し殺すのを。

どうか。

たとえ世論が操作されているものとしても。

私は尾を切り。

甘い蜜の中に身を投じたいのだ。

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