星の名を持つカミサマ
しゃらり、鈴の音が響く。
全身に着けられた装身具は軽い素材のはずなのに息が苦しい。
胸が痛い。
この国の一番てっぺんで肥えた腹を揺らして笑う彼らは“私”を欲しているのか。
否、“私”が“僕”へと変わる事を最も望んでいるのだろう。
あの脂ぎって顔をゆがめながら笑っていることだろう。
私を囲いたいと笑っていることだろう。
足首に嵌められた金の環、指を彩る宝石の数々。
肌に馴染む蚕の布にはこれまた金で出来た刺繍を。
頭の上には大粒の宝石を勿体ないというほどに削って作られた花弁。
“カミサマ”なんてものを崇めるために作った土台の上に足を置く。
人が土台を引くために力を込め、車輪が回る。
脂ぎった王はまた私のことを見ているのだろうか。
地に堕つ、神のまがい物を見ては腹を揺らして笑うのだろうか。
ゆっくりと進む神輿と下を漂う欲を孕んだ視線。
ホシガミサマ ホシガミサマ
ウチノコ ガ ビョウキ デ
ウチ ガ マズシクテ
モット コレ ヲ オオキクシテ オクレ
カミサマ モット オソバ ニ
カオ ヲ ミセテオクレ
忌々しったらありゃしない。
老若男女、有象無象な皆々様が。
手を打ち足を打ち私を崇めている。
反吐が出そうだ。
幼い頃からの洗脳のせいで、純粋無垢な子供ですら“私”を。
“カミサマ”を讃える。
ゆらりと揺れる私の尾を見て。
手を叩く。
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