直観少年と論理少女。
山岡咲美
直観少年と論理少女。
ある高校の科学部での会話劇。
「ねー聞いてよ
『なによ、
「大発見だよ!大発見!」
『大発見?』
「梨花さん、ダークマター、暗黒物質って有るでしょ」
『ああ、宇宙にいっぱい有る見えない重力の事ね』
「そうあれとダークエネルギー、暗黒エネルギーの正体さ!」
『ダークエネルギーって宇宙を拡げてる謎の力の事?』
「そっ、星とかガスとかの物質が少なくなると急激に宇宙を拡げ始めるあれだよ、ぼくの
『ちょっと待って、その前に良いかな、白衣着てくれる?』
「白衣??」
『そっ、これ、早く早く!学ランは脱いでね絵的に合わないから』
「良いけど科学部だからって白衣着る必要有る?」
『ちなみにわたしは脱がないわよ、だってセーラー服だし、インナー、シャツじゃ無くブラだし』
「脱げなんて言って無いよねぼく、あと下
『いや目が言ってたね、加賀くんいやらしい!』
「酷いよ会話劇の小説だから目線なんて表現されないの知った上で嘘つくなんて……」
『さあね、あと眼鏡、眼鏡もかけて』
「黒縁の? 良いけど、どんなイメージなの、梨花さんの科学部は?」
『髪は合格ね』
「まあ校則で黒じゃないと駄目だからね」
『じゃわたし髪お団子にして眼鏡かけるからちょっと待ってて』
「でもうしろにお団子作って眼鏡にしても下がセーラー服じゃ白衣着てても科学者っぽくはならないね」
『ほっといてよ、やっぱりブラウスとタイトスカート持って来ようかしら』
「校則違反だよそれ」
『大丈夫よ、科学部のユニフォームって事にするから』
「野球部みたいに?」
『OK、良いわよ話してみて?』
「あのね宇宙に有る物質の最小限単位って何だと思う?」
『それは素粒子でしょ?』
「フッフーン、ぼくは違うと思うんだ」
『違う?』
「そ、ぼくは物質の最小限単位はもっとシンプルだと考えたんだ」
『つまり何?』
「01だよ」
『コンピューターが使ってる二進法? ONとOFFって事?』
「そうそう」
『でも01って有る無しって事よ? 有ると無しじゃ組み合わせられないわ』
「そこでダークマターとダークエネルギーのご登場だよ」
『どう言う事よ?』
「重力だよ!」
『重力?』
「分かりやすく言うと重力と反重力、もっと言うと引っ張る力と弾く力さ」
『詰まり加賀くんはその2つが01、物質の最小単位だって言いたいの?』
「そう! これならダークマターやダークエネルギーについても説明が出来る! 物質は重力の編み物なんだ!!」
『ダークマターとダークエネルギーは物質化していない力の状態だから、物質として観測されないって事?』
「そう! ぼくは重力を[+G]反重力を[-G]と名付けたね!」
『
「物質は、ぼくらに見えるけど、ダークマターやダークエネルギーが見えないのは物質化していないからで、ダークエネルギーが宇宙を拡げてるのはダークマターの重力の影響範囲から離れちゃって、その力が相殺されず剥き身に成るからなんだ、それが正しければある仮説が生まれる、宇宙の端っこでは重力の影響が無くなり反重力が光速でこの宇宙を拡げるホワイトスペースが存在するって事さ!」
「ホワイトスペースって名前も考えたんだ」
『ブラックホールの逆って意味ね……』
「そう!」
『……加賀くん、それ証明出来る?』
「え?」
『たとへば、エネルギーの総量が物質ばらしてダークマターとダークエネルギーに戻した時、全エネルギー総量の均衡が保たれるのかとか、2つのエネルギー総量にずれがあった場合、ナゼそれが起こったのかとか、加賀くんは重力の編み物と簡単に言うけどその重力素粒子モデルはコンピューター上でもちゃんと動くのって話よ!』
「あの~……たぶんばらすと力の総量は~……あわない?? ダークエネルギーが多いから~……あと~……素粒子モデルは~……重力の周りを反重力が回ってて、数が違うんだと~……思うんだけど~……」
『それで全ての素粒子を作れるの?』
「え? あの………さあ……?」
『知ってる加賀くん、証明出来ない理論はただの空想なの!』
「うぐ!!」
『いい加賀くん、あなたの話はサイエンスじゃないわ! SF、サイエンスフィクションよ!!』
「せっかくひらめいたのに! 大発見だと思ったのに! ぼっぼくのノーベル賞が……」
『加賀くんノーベル賞とる気だったの?』
「……うん」
『それはサイエンスフィクションですらないわ、
直観少年と論理少女の議論は続く……。
直観少年と論理少女。 山岡咲美 @sakumi
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