第4.5章
願う未来
晴れ渡る空は、無限大の希望を語るかのようにどこまでも青かった。
その平行線の希望こそが、ときには誰かを傷つけてしまうとも知らずに。
さも当たり前のように広がる青だけが正しいとは限らない。
たまたま、そこに青が残っただけなのだ。
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「え……その話、ホンマに乗るん?」
白いオーバーブラウスに、チェックのスカートの少女は尋ねる。
「おう、コイツは悩んどるみたいやけどな」
白いカッターシャツに、黒いズボン。高校生の少年が答えた。
その隣で、同じ制服を着た小柄な少年は、困った表情で話し始める。
「誰かの力になりたいとは思うけど……人を傷つけるのは嫌だなって」
うつむいて話す少年。
それに対して、隣の少年は調子よく話す。
「お前の力で、国が救われるかも分からんのやで?」
「それは……そうだけど」
小柄の少年は、ますます俯きがちになる。
真っ青な空の下で、少年は影を落とした。
「ボクはその考え方、好きだよ」
「え……?」
顔を上げて、少年は目を丸くした。
「人を傷つけたくない。君のその優しい考え方、いいと思う」
少年の前には、少年よりも小柄な少女が立っていた。
「君は君らしく、生きていけばいいんだよ」
幼くも、見守るような笑顔を向ける少女。
彼女のような人を、きっと人は"天使"と言うのだろう。
少なくとも、その笑顔に救われた人がそこにいたのだ。
あながち間違った喩えではないと思う。
あるはずのない、一つ上の世界を仰いでみる。
真っ青な空の先に、どこまでも、幸せな時間が広がっているのならば――。
――この力で、切り拓きたい。
そう、思ってしまった。
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