後日談「カイロのような君へ」
あれから学年がかわり、クラス替えがあった。
もちろん彼とは別のクラスになった。
彼は彼らしく生きていた。彼には新しく友達が増えたし、去年あいつ苦手だと言ってた奴とも仲良く笑い合っていた。
人は時間が経てば考えが変わることもあるしその時々でその人の順位付けもかわる。
今まで一番と言われて来たやつが明日には二番目になってることもあるかもしれない。もっとひどい時には最下位…なんてこともあるかもしれない。
人の心も感情も時間が経てば移り変わっていく。
僕は彼から学ばせてもらった。
今でもたまにあの頃は楽しかったなとか思うことはある。でも僕は今のクラスで程よくテキトーにやりながら生きている。
たまに彼は僕と目を合わせ睨みをきかせてくる。僕はもうそれを動じずに受け止めることができるようになった。
クラスが変わりたての時ははそれが気になって気になってもう嫌で嫌で学校なんか辞めてやるって思った。
無理やりにでもあの時先生の言うことを聞かずに自分勝手に彼に話をしていれば今こんなことになって悩まなくて良いのか。とも思った。
けどしばらくたった今はもうどうでもよくなった。
ーそうやって僕も変わっていくんだ
僕も結局人間だったんだ。
バイバイ、楽しかったよ。
君とのケジメをつけるため君に手紙を書くことにするよ。
去年とても仲良くしてくれた君へ
高校生になった僕に素敵な出会いをくれてありがとう。
今、君は他の友達と上手くやれていますか。きっとフレンドリーな君なら出来ていることだと思います。
僕は今必死に毎日を生きていて、去年のことは考える暇も無くなっています。
でもたまに思い出す時があります。
あの頃は楽しかった。また戻れたらいいなと
…でもそれはもう不可能だということも薄々
感じています。
僕の記憶もしくは君の記憶を消せたならどれだけ楽か。と何度も思いました。
朝起きたら消えていて欲しいと願っていました。
でも人間って残酷ですね。
忘れてもいなければ消えることもありませんでした。
この物語は君のことを思い出しながら綴りました。
それによって気づいたことがあるのです。
人間関係ってカイロのようなモノだな…と。カイロって少しすると暖かくなって長い時間暖めてくれるけど、時間が経つと冷たくなってもう二度と暖かくならなくなる。
それって今回の僕と君みたいじゃないかな。君は僕に暖かい思い出をたくさんくれた。
けど君が僕と話さない。って決めた時から
もう君は冷めていたんだね。
僕を含め人間って本当に都合の良い生き物なんだって気づいたよ。
これから先僕は君との思い出をひきづって君の足枷になるような生き方はしたくないから僕は気にしないようにするね。
今まで楽しく暖かい思い出をくれてありがとう。この先君が幸せに過ごせますように。
ー僕
カイロのような君へ 田土マア @TadutiMaa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます