第56話 その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ
僕は短気です。昔から「カルシウムをとったほうが良いんじゃない?」とからかわれて、怒髪冠を衝くタチなので目も当てられません。心の中で沢山いる自己のうちの一人が嗜めます。「カルシウムをとれ、そして、冠にとりつけられているルビーすら貫く髪の毛を育成するがよい。そうすれば、からかってくる相手の口も塞げるであろう」
アンガーマネジメントと聞くと、上記のようにストレッサーを抹殺する方向に考えが働くのはいけないことでしょうか。いや、いけないことではないでしょうが、現実味がありませんね。「金持ちになりたい」と言う友人に「逆玉狙うために社長になって良い身なりすればいいじゃん」とアドバイスするようなものでしょう。それが出来ないから困っているのにね。ストレッサーを無くすなんて、普通、出来ない訳です。だから、アンガーマネジメントなるものが必要なんですよね。
対人への怒りなら(どこかで聞いた受け売りですが)「メタ認知」が役に立ちます。ゲーム視点と言いましょうか、自分の後頭部が映る視点を想像するのです。深呼吸をするたびに視点をズームアウトさせましょう。
見事に絶壁な後頭部。そこから新宿の交差点へ。新宿周辺。どんどん縮尺を小さくします。山の手線。東京。関東。日本。良いですね、そのまま。地球。月と地球。太陽、金星、火星。太陽系。果てはアンドロメダ銀河。何億光年向こうの星。肩に付いた小さなホコリ。交差点で立っている君。もう今は見つけられないかもしれない。
と、妄想が広がった所で「ちゃんと前見て歩けよ」と現実に引き戻されます。「どの口が」と言う前にまたメタ認知を作動させましょう。これをストレッサーがいなくなるまで続けます。次は、君の横顔越しにあるものまでいけるでしょうか。楽しみですね。
アラサーなら元ネタが分かるかもしれない、ひどく限定的な例でしたが、そういうことです。つまり、自分の視点から外してみる。物語や文字を綴れる皆さんなら得意だと思います。「どうしてあの人は急いでたんだろう。もしかしたら、友達の妻の妊娠を聞かされ、思い当たる節があって、焦って街を歩いていただけかもしれない」みたいなね。ほら、怒るに怒れなくなったでしょう。自分から視点を外すと「確かに、それは焦るよな」と納得出来たりするものです。
ですが、僕はどうしても苦手な怒りがあります。
それは「自分への怒り」です。
特にスポーツで顕著なのですが、上手く身体が動かなかったり、思うようなプレーが出来ない時、どうしようもない怒りが湧いてきます。苛立ちは動作を荒くし、更なるミスを生み出すというスパイラルにハマるので気持ちを落ち着けないといけないのですが、昔から劣等感に苛まれたときの対応方法が更に練習する以外に分かりません。
高校の部活では、唯一の初心者であったため、プレー出来ない苛立ちに押され、休みもとらず練習した結果、膝の皿が疲労骨折し、更に動けなくなった怒りと薬で強烈な痛みを誤魔化しながら練習し続けたら、かばっていた足の靭帯を痛めて歩けなくなりました。
いかに怒りが悪影響を及ぼすか分かりますね。振り返ってみたらただのアホです。冷静になれるオツムが僕にはなかった。おかげで今も膝の皿は割れたままで、将来のことを考えると本当にやめておいたら良かったなぁ、と後悔しています。
そんな経験をしたので、今は自分の身体にあたることはないですが、今でも自分の劣等感に対する怒りはふつふつと湧いてきます。
さて、この怒りはどう処理すればよいのでしょうか。自分をメタ認知したとしても、結局考えている主体は僕なんですよ。「コギト・エルゴ・スム」とデカルトさんが名言を残したように、我は思ってしまっているのです。どうしようもない自分がそこに存在しているのです。他人のことなら妄想で納得させることも出来るでしょうが、自分のことは妄想で誤魔化せないだけにタチが悪い。
そこで「もっと勉強すべきだ」とか「もっと人に興味を持つべきだ」とか、そんな冷静で冷酷で冷淡な答えは役に立たないのです。そんなこと分かっているのです。分かっているのですが、出来ないからこうなってしまっているのです。精一杯やったつもりなのに、どこかで間違えてしまっているから悔しいのです。怒りが湧いてくるのです。「どうしてお前はそんなにどうしようもないんだ」と。
ある意味、その劣等感に苛まれて、自分を叱咤し続けた結果、僕はこうしてアメリカで生活出来ている部分もあるとは思います。が、それにしても不甲斐ないよなぁと思います。
さて、結論は出ません。これはアンガーマネジメントのエッセイを読んで、自分に対する怒りはどうすれば良いのか、と悩んだ末に出た他力本願です。
みなさま、このどあほうに教えて下さい。みなさまがどのようにして自分の怒りを抑えているのか。何を考えたら怒りが収まるのか。美味しいものを食べたら良いと言うのもあるでしょう。ただ、今はモテるためにダイエット中なのです。なので、食べ物以外でお願いします。アルコールは既に試していますが、翌日にやはり後悔します。モテて、更に怒りを抑えられる方法があれば、飛びつきたいです。藁にも縋る思いなのです。エッチなことでも構いません。どしどしコメント下さい。関係ないコメントでもとても喜びます。エッチなことだともっと喜びます。
月が綺麗ですね / 奥森 ゆうや
第18話 アンガーマネジメント
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896540326/episodes/1177354054917850408
奥森さんのエッセイから文章が膨らみました。リンク先に「怒りタイプ」が分かるリンクが張ってあるので、是非、やってみて下さい。僕は用心堅固タイプでした。「心を開きにくく、人との間に壁を築き、健全な関係を育めなくなる」とのことです。公明正大タイプって良いですよね。羨ましいな。あぁ、むかむかしてきた。
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