第33話 書き続けるモチベーション


 何かを書くと言うのは結構面倒です。


 いや、かなり面倒です。小説はもちろんなのですが、句読点の使い方や言い回し、言葉のチョイスなどが壁になって目の前に立ちはだかります。全体の繋がりが希薄な分、エッセイは取り組みやすいのは確実ですが、書き上げるのに力がいるのは変わりません。

 

 そうなると決まって頭をもたげてくるのがモチベーション維持の方法。これは前作のラスト(※1)で大体書いたので割愛しますが、ここでは方法論では無く、前作では意識していなかったテーマを紹介して、カクヨムでモチベーションが保たれる理由を考えたいと思います。


 このエッセイのテーマは「変態を増やすこと」でございます。


 僕の偏った考えを読んで頂くことで、月がいつの間にかお尻に見えてくる。そんなサブリミナル効果を読者様の日常にもたらし、この世界の変態人口を増やしていこうという陰謀めいた抱負を秘めています。結果、世界平和を達成したい。

 そんな大仰な大志を抱いているのでクラーク先生もにっこりとしているでしょうが、それだけでは心許ないのも事実。大言壮語を吐くばかりで具体的行動や方針が伴わないのでは動けませんよね。そこで僕はもう一つ裏テーマを設定しました。


 それは「インタラクティブ」です。

 何いっちょ前に横文字使ってんだよと思いますね。分かります。


 後輩が「ザギンのコリドー街でナンパして、ゲキアツのチャンネーとワンナイトかましましたよ」とか報告して来たら僕は無言で侮蔑を込めた一瞥をくれて、その日は口を利きません。ただ退社前にSNSで一言だけ連絡を取ります。

「コツを教えろ」

 そして、共にコリドー街へ繰り出し、もじもじとはにかみながら通りを往復します。疲れてきた所で客引きのロシア人に捕まり謎の怪しいバーで足を休める。後輩に「そんなんだからダメなんですよ。もっとぐいぐい行かないと」と言われますが「そんな低俗なことはしない。俺はお前より静淑で高潔な魂を持っている」とラムコークを飲みながら強がりを溢します。後輩はため息をつきながら「まさに性欲にかまけた哀れな男を体現した言行不一致ですね」と諭されるまで見えました。


 えーと、なんで僕は自分で哀しくなる妄想を広げているのでしょうか。ああ、そうだインタラクティブですね。気を取り直して……。


 カクヨムではコメントが面白いんですよ。特にエッセイでは読者のコメントも併せてその方の作品だと思えるくらい面白い。しばしば面白がるだけじゃ我慢出来ず、どうしても記事として独立させたくなる時があります。そんな時は問答無用でエッセイにして、感謝を込めてご紹介させて頂きます。そして、そのような作品の芽を見つけた時は堪らなく嬉しくなります。


 もちろん自作のエッセイでも同様です。皆様のご反応を読み返していて、そこから新しい記事が生まれることがある。温故知新ですね。なんか違うな。でも、それ以外に言葉を知らないので温故知新と言うことにします。温故知新です。オンコチシンって何だか卑猥に聞こえない? 聞こえませんね。オンコチシン。

 

 こうしたどうでも良い発見が出来ても嬉しくなります。ともかく記事を書くことで誰かを刺激し、刺激を受けた誰かのコメントが更に刺激を生む。実際、前回の記事でもそれが見られました(※2)。まさに「インタラクティブ」ですね。ふらふらと歩くだけでも天然の変人はたまに見つかりますが、やはり種を頂き、お返しに埋めた方が確実でしょう。そうして交流していくうちに薫陶を受けて互いに育っていく。このエッセイはそのような場にしたいです。どんなコメントでもビビッと来たらすぐ記事にしますので、物怖じせずにどこでも妄想をぶちまけて下さいね。そして、願わくば新しい変人を生み出す種にならんことを。


 こうして僕の書くモチベーションは維持されるのです。皆さまのコメントが無ければこんなに書けることもありませんでした。そして、皆さまのコメントが無ければこんなにひねくれていくこともありませんでした。つまり僕の思考がねじれているのは皆さまのせいだとも言えます。決して僕だけのせいではない。どうしてくれるんですか。責任を取って下さい。自分だけまともなふりをしようたってそうはいかない。ここまで読んでいる時点であなたはもうクロなのです。逃げるべからず! 逃げた先にあるのは、まともという幻想とひねくれた自分くらいのものですよ。誇りある弁明と妄言をお待ちしています。




 ※1 方法論はこちらでどうぞ

 第130話 日常エッセイを続ける秘訣

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888425664/episodes/1177354054891890764


 ※2 前回の記事における@2LimCGHrAi1さんからの返信

 >>僕は肉まんの底についているあれを更に薄く薄くスケスケになるほど伸ばして、その紙で少しくたびれた足の生えた鶴を折って、満足してゴミ箱に投げ捨てるのです。

 ―――――

 1000年後の知的生命体はこの一文に過去の風習を知るのです。1000年後の知的生命体は「肉」と「内」の違いが認識できないため「内まん」と読みます。まんはもちろん、儀式のときに周りを取り囲む幔幕のことです。

 かくして、1000年後の知的生命体はAskewさんの残した文章を手掛かりに、古代の儀式を再現するでしょう。良く分からない幾何学模様の入った幕の下には、紙折りで足の生えた想像上の生き物「鶴」がついています。

 みんな真剣な顔をして、古代に思いをはせています。昔の人の美的感覚は独特だけど、どこか不思議と懐かしさを感じる、なんてしたり顔で言っているのもいます。それもこれも、すべてAskewさんがエッセイを一言で終わらせなかったからです。

 ―――――


 こんな妄想の花が咲いたのを見ると得も言われず嬉しくなります。僕の文章が何らかの影響を与えることが出来たのだ、と。


 @2LimCGHrAi1さんの想像力が素晴らしいのは言わずもがな。皆さんもその素敵な文字の数々を楽しんでみて下さい。

 https://kakuyomu.jp/users/2LimCGHrAi1

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