第2話 神の島(Lequosレキオス)

十五世紀の沖縄。


三つの国が勢力を争う時代には、『琉球りゅうきゅう』と呼ばれていた。西洋の海洋図には『Lequos(レキオス)』と記されている。


南北に長く伸びた本島は、三つに分けられて統治されていた。


北から順に北山(ほくざん)、中山(ちゅうざん)、南山(なんざん)と呼ばれ、北山と中山との境は地形が最もくびれた部分とし、中山と南山とは那覇の港、その大河を国境とした。


北山は日本やまと韓国コリアに近く、貿易を主として栄えていた。沖合や内陸では、海賊との紛争がよく起こり、それに伴って常に戦闘能力が高く維持された国だった。


中山は、那覇と牧港との二大港を活用し、主に中国(明国)との貿易で栄えていた。


南山は水が豊富で本島で唯一、稲作が行われ、日照りが続いても草木が枯死することはなかった。それだけでも裕福な地域となっていた。


そこから東の方角に目を向けると、久高くだかと呼ばれる小さな島が、海上にポツリとあった。


いつの時代からか『神の島』と伝えられ、


『この、天地開闢かいびゃく(始まり)』


の場所とも言われていた。

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