白色の星

@p-nut

第1話 白一色の世界

 2500年、晴れ、風も穏やかで日向ぼっこには丁度良い天気だ。

「3、2、1発射!」

その声とともに、世界初の空間転移装置搭載型有人宇宙探査艇「ムサシ2500」が打ち上げられた。簡単に言うとワープのできる宇宙船だ。それが地を発つと、一瞬の間だけ人々は歓声をあげ、また静かになり、今度はワープの成功を祈った。

 大気圏を抜け、6人の乗組員は一度安全ベルトを外し、ワープの準備に入る。準備が終わると、再び席に戻り安全ベルトを付け、全員が座ったのを確認したところで、船長がボタンを押した。

「ワープ開始だ。」

船は光速を超えて空間を移動する。地球に残った何十億の人々は大歓声をあげ、僕らはまだ見ぬ新しい宇宙を目にする・・・はずだった。

 寒い。船が動いている気配がない。どこかに到着したのだろうか。僕は気を失っていたらしく、ワープをしてからの記憶が無い。ワープは本当に成功したのだろうか。こんなことを考えながら久しぶりに目開いた。そのとき、少し眩し過ぎる光とともに目に入ってきた景色は、この世の物とは思えない程美しく、底の無い恐怖すら感じるような、氷と雪以外に全く無駄の無い「白一色の世界」だった。

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