牛丼並
白川津 中々
■
朝方の散歩の途中小腹が空いたので俺は牛丼屋に入る事を決意した(店名は伏せる)。
店外広告を眺め決めるオーダー。ここは牛丼をチョイス。豚カルビ丼と悩むところだが朝から豚の油はヘビーが過ぎる。かつてはペロリだったのだが、老いたものだ。
入店。さて着席。と、いきたいところだが生憎と食券制。テンポがズレるがこれはこれで手軽なので良し悪しである。幸いにして客は俺一人。待ちはなし。後ろに並ばれるのも気まずい為、早速金を入れタッチパネルの操作を開始。牛丼カテゴリ→牛丼を選択。流れるような手さばきに我ながら惚れ惚れとする。たまにごちゃごちゃと手こずる素人がいるがそんな輩は言語道断。注文する商品を決め財布の中身を把握してから食券機の前に立て。
発券後着席。やや遅れて中年女の店員が茶を出し食券を回収。このご時世にワンオペのようだ。大変である。
これは配膳されるまで時間がかかるかもしれないなと思っていたらそんな事はなかった。時間にして30秒。牛丼登場。この女、中々の手練れ。感嘆に服し一礼。「どうも」の会釈。業前の前には敬意を表すのがしきたりである。
それでは。と、食す前に気が付く変異。以前訪れた際とは膳が別の装い。香味として付随する黒七味が個装で提供されているのである。前回は木の筒に入っていたはずだが、変更されたか。確かに黒七味はやや粘性があり筒の孔か詰まって振りかけにくかったが、しかし、これではあまりに風情がない。コストや衛生面の問題もあるのだろうが、個人的にはあの木筒の方が好みであった。一食500円もしないサービスにクレームをつけるのも馬鹿らしいが、機会があればメールで要望を出してみよう。結果、面倒が増えてしまった場合には従業員に対して申し訳なく思う。
まぁいい。そんな事より食べよう。
毒にも薬にもならない思案を淵に置きようやく箸をつける。
牛丼は空になった。
黒七味も味自体は文句はなかった。
「ごちそうさん」
店を出て空気を吸うと腹八分目に苛まれる。
大盛りにしておけばよかったと、小さく後悔。
まだまだ若いじゃないかと思った途端、急にムカつきだす胸の辺り。
ファストフードは、しばらく控えよう……
牛丼並 白川津 中々 @taka1212384
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