仔羊たちの血肉

作者 夏野けい

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★★★ Excellent!!!

作者の、冒険的な、しかし実力者だということがよく分かる作品であった。
こんな未来があるのであれば、私はさぞ脂っこい肉塊になるのだろう。それはいいとして。

やはり愛なのだ。

愛は地球をどうのこうのいう番組もあったが、そういう愛ではない。

人が、人として成り立つために必要なもの……それは愛以外に無いのだ。

死して得られる愛を、果たして人は愛と呼ぶのか。はてさて、それは知るよしもなし。
しかし、この作品にある愛とは、まさにそういうものだと、私は感じたのだ。

……違ったらすみません。ポエムを読みたくなる作品でしたので、つい。

★★★ Excellent!!!

読み手にいろいろなことを問いかけてくるような、掌編でありながらずっしりとくる物語です。
こういうものは説教くさくなりがちで、押しつけがましくもなるのですが、『仔羊たちの血肉』にはそれがありません。
作者さまの力量なんだと思います。
皆さんもぜひ読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

まず初めに、本作は自作『大飽食時代』からインスパイアされたそうで、自作からこのような素晴らしい掌編を生み出してくださったことに、元ネタの作者からも謝辞を申し上げたいです。本当にありがとうございます!

『大飽食時代』が、ヴィ―ガンといった様々な主義主張の押し付け合いを皮肉るブラックユーモアであったのに対し、本作は非常に宗教的で不思議な世界観の、自堕落な男が啓示を授けられる物語となっています。


衣食住を保証される代わりに「食料」として生きることを選んだ男。そんな彼が出会ったのは、口がきけないゆえに御言葉を発せられないクリスチャンの少女。

本を読むこと以外に心を動かされなかった彼が、彼女との出会いで得たものとは……。


怠惰に堕ちたゆえに自らを「施しの糧」として差し出した男と、信仰心から来る優しさから自らを「施しの糧」として差し出した少女。

この対比がまず面白いし、人に何かを分け与えることの意義について非常に深く考えさせられました。


本当に、元ネタの方が侵略宇宙人まで登場するドタバタのスラップスティックコメディだったのを鑑みると、よくここまで毛色の違う作品を生み出せたものだと感心しちゃいます(笑)

夏野けいさんは、本作以外にも素晴らしい作品を書いていらっしゃいます。そんな夏野さんが筆の進むままに生み出したという本作は、まさに夏野ワールド全開であり、本作の空気感が好きであれば他の作品もきっと刺さることでしょう。

神無き世界の生け贄にされた人間たちの、ある意味救いの物語。ぜひ読んでみてください!