いやもう、大変な目にあったわ

王女はこの世界で遊び呆けて・・・・もとい、色々と活動して、この世界が、実は、プラスチックゴミによって危機に瀕して居ることを発見した。

プラスチック、合成樹脂、石油を原料とするこの物質は、この世界を支えているわけだが、同時にこの世界の動物、特に魚や海洋生物の大きな被害を与えていた。

いつからだろうか、魚を焼くと、魚本来の匂いの他に、プラスチックの焼ける匂いがすることを。人間は、魚を焼く時にまた、石油由来の燃料を使うことや、魚を焼く装置自体に多くのプラスチック素材を使ってる事から、魚を焼く時にプラスチックの焼ける匂いがしている事に気が付かなかった。

しかし、王女はこの世界の海洋生物、魚類は自分たちの世界の海洋生物との違いを感じており、その違いというのが石油由来のプラスチックの微粒子による事を見抜いた。

王女は、その微粒子が魚の体内を駆け巡り、それが海洋生物の生態に大きなダメージを与えている事に気が付き、同時に、近い将来に地球の科学者もその事に気がつくだろうと考え、また、海洋生物保全の観点から、地球上で破棄されてるプラスチックゴミを有料で集めて、それを異次元の、一旦自分の世界に送り込み、それをまた異次元の、太陽系の宇宙空間、太陽の近くに送り込んで、そのまま太陽で焼いてしまえば処理ができるのでないかと考えたのだった。

そして同時に、自分の世界の魔法、魔術を地球に売り込み、商売になるのではないかと考えたのだった。


そう考えると彼女は行動が早い、最初、西洋諸国のいくつかの国に売り込んだのだが、頭の硬い年寄り政治家や科学者には到底信じられない荒唐無稽な話、彼女がどこの国籍も持ってない事から、詐欺扱いされたのだった。


次に彼女が取った方法が、南アフリカの一部の国、民族問題を抱えている地域のとある少数民族に武力と金を与え、軍隊を組織し、そして小さい区域を独立国家にしたのだった。まあ元々魔法が使え、またその地域に空間転移の門を作った事で自分の世界から人員を連れてきて、その国の人間になりすまし、見事、その国を支配するに居たり、その国で会社をでっち上げ、ゴミを集める船舶、港、工場をあっという間に作り上げたのだった。


それから、ごみ問題を有料で引き受けゴミのコンテナを船で輸送、港と一体になった工場で転移門を使って宇宙空間、この世界の太陽の周囲のどこかにゲートを開いて、太陽という「炉」に捨てていた。


多くの国はごみ問題で、国内では首が回らなくなりつつあったので、王女の会社のごみ処理の提案にホイホイ乗ってきた、国内でプラスチックゴミを処理するより遥かに安全(まあその国にとっては)で安価である。国際NPOが色々と騒いていたけど、NPOといえどどこかの国の政府から金を貰って敵対する国を責めるというのが仕事だったので、今回のように、騒ぎ立てると自国政府からのお金を貰えなくなる事から、その行動は微々たるものであった。

しかし、その中で、一部のNPOは未だに活動を続けていた。

中国政府をパトロンとする国際人権団体である。



「いやもう大変な目にあったわ」

王女の言う話では、人権NPOがデモや暴動を起こすことで、警察や軍がてんやわんやの騒ぎになり、また、近隣の中国の軍隊が出張って大騒ぎになったらしい、そして、中国の軍隊が工場や会社のビルに勝手に入り込む事態になり、王女達は会社の資産を慌てて自分たちの世界に送って、転移門を閉じてその世界を脱出したのだった。

「この世界でのビジネスが成立してるのは、それぞれの国の軍隊がしっかりしてるので、無法な連中への枷になってるのね。」

王女の話は私から見てもびっくりする話だった。そういえば日本の企業が中国に進出して、技術やノウハウを奪われて中国から撤退するという話はよく聞くがそれは、日本の自衛隊が弱腰によるもんなんだなって事がわかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る