自主企画「小説の書き方・自作解説・創作論・魂の叫び…などの集会所」

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・どうして文章を書き始めたの?


 なりゆきで。


・どうして絵や音楽や映画じゃなくて文章を選んだの?


 実は絵の方が古い趣味なんですけど、ストーリーの表現方法としては経済性が悪いなと。映画なんてもっとそうですね。


・はじめて書いた作品について


 某小説シリーズの2次創作でした。原作を読んでないとわからない叙述トリックを用いた内容です。

 1次創作だと、ヤンデレ幼馴染みが全編告白体で捲し立てる体感型デートノベル。


・はじめて感想をもらったときの感動について


 それはもう……嬉しかったんでしょうか。あんまり覚えてないんですよね。


・あなたに影響を与えた5冊について


 どうしても絞り切れなかったのでここだけ改変しました。


『1974 ジョーカー』(デイヴィッド・ピース)

 なんと言っても、短文で畳みかけるような文体。そして、責任の主体や因果関係が判然としない不条理の感覚、「異邦人」たる主人公の主観で物語る方法論から強い影響を受けました。

  

『ピアニストを撃て』(デイヴィッド・グーディス)

 わたしの3人称はグーディスの影響が強いです。内向的で、自分自身に語りかけるような独特の文体ですね。


『遠い山なみの光』(カズオ・イシグロ)

 信頼できない語り手――ミステリのそれがあくまで「嘘をつかずして騙す」という明確な意思を持ったものであるのに対して、イシグロのそれは語り手も自覚していない「認知の歪み」を浮かび上がらせます。そこが自分の中で新しかったんですよね。


『夏草の記憶』(トマス・H・クック)

 ほぼ全編を回想形で語り、「何があったのかワットダニット」の興味でミステリを成立させるという手法に衝撃を受けました。過去の自分をナレーションのような切り口から語る文章表現からも多大な影響を受けています。


『殺す風』(マーガレット・ミラー)

「どんでん返しが偉いんじゃない。プロットが偉いんだ」という学びを得た1作。言い換えると、ミスディレクションによって物語を二重化する技法ですね。クリスティもうまいんですが、探偵じゃなく関係者の視点から描いているのが好みです(そういう意味ではディヴァインにも近い)。


・使っているツール、机、椅子、手帳のこだわり


 レシート。貧乏性なのでメモとか付箋だと使うのに躊躇しちゃうんですけど、レシートの裏ならいくらでも書けて簡単に捨てられるのがいいです。


・どんなときに書くのが楽しいと思う?


 書いてるとき。


・どんなときに書くのをやめたいと思う?


 書けないとき。


・文章表現におけるあなたのこだわり!


 なんでしょうね。音と情報が心地よいリズムを刻むように調整することでしょうか。あと「?!」派じゃなく「!?」派。


・小説を書いていること、誰かに話している?


 はい。


・これまで一番良く書けた表現について解説する


 アヤは水槽が空になっていることに気づいた。

「あれ、リンドバーグは?」

 妹は部屋にある伝記からペットの名前を借りてくることを好んでいた。

「いなくなっちゃった」

「いなくなるって、飛んでったわけじゃないでしょ?」

「ベタは飛ぶから」

「だからって部屋の外までは飛ばないでしょ。鳥じゃないんだから」

「あの人が……」

「何?」

「あの人に誘拐されたの」

「リンドバーグが?」笑えない冗談だった。「ねえ、またハルなんじゃないの?」


「あの人」より

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054891377252


 まず、リンドバーグというのは言わずと知れた飛行王のことです。そして、彼は息子を誘拐されたことでも有名だったり。

 え、解説ってそういうことじゃない?


・嫉妬した時どうしてる?どんな人に嫉妬する?


 ジェイムズ・エルロイという作家が『リブラ 時の秤』を読んだとき発した「クソッ! 究極のジェイムズ・エルロイ的人物を他人に創造されてしまった!」というフレーズが印象に残っています。

 自分がやりたかったことを、よりうまくやられたら悔しいでしょうね。特に、自己満足だと決めつけていたことをきちんと万人受けするエンタメに昇華した作品が現れたらそれはもう嫉妬するでしょう。


・自分の文章のいいところを30個見つけてみる!


1.誤字脱字が少ない。

2.語彙が平易。

3.表記が揺れない。

4.日本語として成立している。

5.一文が長すぎない。

6.ほどほどに改行する。

7.漢字が多すぎない。

8.ほどほどに読点がある。

9.視点がぶれない。

10.傍点をほとんど使わない。

11.ジョジョネタを使わない。

12.四字熟語をほとんど使わない。

13.「余談だが」と唐突に蘊蓄を語りはじめない。

14.記号をあまり使わない。

15.字下げができている。

16.「……」だけの台詞を使わない。

17.「「」」という表現を使わない。

18.馬から落馬したり騒々しく騒いだりしない。

19.ほどほどに主語を省く。

20.一文の中で二字熟語を使いすぎない。

21.一文の中で「の」を使いすぎない。

22.造語がない。

23.だいたい全年齢対象。

24.ネットスラングを使わない。

25.語り手が聞き取れなかった台詞を書かない。

26.接続詞が少ない。

27.メートル法。

28.現代仮名遣い。

29.言文一致体。

30.フォント芸をしない。


・あなたにとって書くこととはどういうこと?


「僕の作品を作っているのは僕自身の人格を完成する為に作っているのではない。況や現世の社会組織を一新する為に作っているのではない。唯僕の中の詩人を完成する為に作っているのである」

 芥川龍之介「文芸的な、余りに文芸的な」


・あなたの創作遍歴を教えて


 某サイトで2次創作を発表しはじめる。

 ブログで1次創作を発表しはじめる。

 アンソロに何作か寄稿。

 カクヨムに移住。


・自分は駄目だと思ったとき何を食べる?


 とりあえず気分を上げようという口実で、家にある好きなものを好きなだけ。


・文章を書いてどうなりたいかっていう目標はある?


 長編を書けるようになる。

 定期的に更新できるようになる。

 そこそこ評価を得られるようになる。

 まとめると、コンテストで毎回最終選考に残る書き手になりたいです。


・仕事にしたい?それとも趣味のままがいい?


 大御所くらい自由に書けるなら仕事にしてもいいですね。生活として何も変わらず報酬が入るようになるってことですから。


・プロットの組み方


「アイディアを転がす」と言ってるんですけど、着想を効果的に表現できる形を見つけるまでひたすらネタ出ししてセルフコンペします。

 気をつけているのは、題材が持つ物語に耳を傾け、翻訳者に徹すること。(特に短編で)展開や雰囲気を決め打ちしてうまくいくことってほぼありません。あくまで題材が形式や展開、キャラクターを決定するべきだと考えています。

 ただ、翻訳という営みには間違いはあっても正解はありません。ので、おのずと自分の色が出ることにはなるでしょう。


・これまで読んだ創作論の本を紹介する!


『映画術 その演出はなぜ心をつかむのか』(塩田明彦)

 キャラクター描写など小説にも敷衍できる考え方がけっこうあります。小説の創作論って実はほとんど読んだことないんですよね。


・細かくて伝わらない文章のこだわりを語ってみる


「名文を書かないこと」でしょうか。文脈から切り離されてそこだけで評価されるような文章はあまり書きたくないということです。

 共有不可能な戯言――言ってしまえば魔術的思考の方が小説的なんじゃないかと考えてたりします。


・これまで書いた中で一番好きな作品について語る!


「わたしがこれから出会う鳥」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885561659


 なんて言うんでしょうね。ちゃんと作り事として構築された嘘みたいなものがあって、かつあざとくない。自分の中で理想的なエンタメが書けたんじゃないかなと。

 問題はコメントを見るにあんまりエンタメだと思われてないことです。ええ、エンタメってこういうことじゃないの、と思いました。


・どんなジャンルが好き?そのジャンルへの熱い思いを教えて!


 カクヨム的な分類で言うと、現代ドラマとミステリー。

 ただし、現代ドラマはお仕事ものとか競技もの以外。そういうわかりやすいジャンル的な強みというものを持たず、純粋な筆力で勝負する作品に憧れます。

 ミステリーは伏線にエモーションが乗ってて、物語性があるもの。


・おれの修羅場飯


 そんな『おしりかじり虫』とか『女くどき飯』みたいに言われても。

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